それぞれの最後�� ページ26
2月28日。
『こちら、お返し致します』
朝香は上層部の集まる会議室で、自身が4年間使ったトリガーを机上に置いた。4年間使っただけあって年季を感じるが、朝香はものの扱い方が丁寧ゆえ使い回すことは出来そうだ。
「...記憶封印措置は君には必要ないと判断した。呉々も、気を付けたまえ」
『承知致しました』
城戸は朝香の言葉を聞くと、一呼吸置き再び口を開いた。
「4年間、ご苦労だった。新しい環境でも頑張りたまえ」
『こちらこそ、4年間お世話になりました。
今後、ボーダーの益々のご発展をお祈りしています』
朝香はゆっくりと、綺麗な所作でお辞儀をした。そして失礼しますと一言残し、会議室を去っていった。
「...彼女、成長しましたね」
「元から落ち着いてはおったが、これなら社会に出ても問題なさそうだな」
「惜しいですね、辞めてしまうのは」
「彼女が決めた事だ。我々が口を出すことでは無い」
「ま、何も言わず送り出してあげましょう。彼女も引き止められるのは好きじゃないみたいなんで」
「...彼女の未来に、幸多からんことを」
4年間、前線を走り続けてきた戦闘員。数多の人々の未来を守り続けてきたそんな彼女に、大人達はどうか希望に満ちた未来を、と祈念するのだった。
･
会議室から自分の隊室に戻るまでに、朝香は何人かとすれ違った。その全ての人に「お疲れ様でした」「またどこかで」と声を掛けて貰っていた。現ボーダー設立当初から所属していた朝香は割と顔が広いようだ。
「...おー、行ってきたか」
隊室に戻れば、澤がいつも通り朝香を出迎える。
『はい、トリガーも返却してきました』
「これでお前も一般ピーポーだな」
『一般ピーポーなんで、ちゃんと守って下さいね』
「任せろ」
澤はそう言って笑ったが、朝香の鼻は見逃さないならぬ嗅ぎ逃さなかった。
『...寂しそうですね』
「寂しいだろ、とうとう一人だぜ？澤隊」
朝香の言葉に対し素直に寂しいと言った澤。こういった素直に気持ちを言葉にできるのは彼のいい所だ。
「お前とは家族よりも一緒居たから余計にな」
『澤さん寂しくても毎日電話してこないで下さいね』
「俺はメンヘラ彼氏か」
変わらぬ会話を繰り広げたが、これも今日で最後だと思うと朝香は少し切なくなった。
『澤さん』
「ん？」
『4年間、ありがとう』
朝香の真っ直ぐなお礼に、澤は口角を上げた。
「こちらこそな」
そう言って澤は、朝香の頭を撫でるのだった。
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にこ(プロフ) - この度はこんなにも素晴らしい作品を作成してくださりありがとうございます（ ; ; ）出会えたことにとても感謝しております！他の作品も楽しみにしております！完結までお疲れ様でした＾＾ (2022年1月31日 0時) (
レス) @page32 id: 122cc99496 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - 綺世さん» 楽しみにしてます！(*´꒳`*) (2021年11月2日 16時) (レス) id: 60475fc3e4 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - そるとさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！また作品を出した際にはよろしくお願いいたします。 (2021年11月2日 11時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - ワールドトリガーで一番好きな作品だったので完結したのがとても嬉しい反面寂しい気がします、次作も楽しみにしてます！ (2021年11月2日 7時) (レス) @page32 id: 60475fc3e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺世 | 作成日時：2021年8月11日 3時
