最後の晩餐�� ページ25
走り出して数秒、朝香は仁礼自宅が見えなくなった所で走るのを辞めた。それに合わせて、付き添いの四人の足も必然的に止まるのだった。
「お前...生身でも足速ぇのな」
『中学生の時は陸上部で頑張ってましたよ』
「納得」
朝香は走った事で耳から落ちた長い前髪をかけ直した。そして、後ろを振り返り再び笑みを零す。
「珍しいな、朝香にしては」
『そうかな』
「あんな笑わないだろ、普段は」
穂刈の言葉に朝香は自分の普段の様子を振り返り、確かになと納得する。
確かに朝香は反応が淡白な印象が強い。珍しいと思われても仕方の無いことだ。
『光ちゃん、心配している匂いがしたからさ』
朝香はそう言うと、コートのポケットに両手を入れた。その表情は先程とはうってかわり、いつも通りの落ち着いた表情となっていた。
『面倒見がいいんだよ彼女は。年上の私の事を気にかける程ね。でも私にとってはいつまでも妹みたいな存在だから、心配させたままじゃ駄目だなと思って』
ちょっとカッコつけてみました、と朝香は言葉を紡いだ。「後は普通に寂しいオーラ前回だったから」と朝香が続ければ、確かにと皆肯定する。
「...寂しくなるな」
「そうだな」
村上と荒船がふとそう呟く。まさかそんな言葉がこのメンバーから出てくると思わなかった朝香は驚きで目を丸くした。本日の朝香の顔はよく動く様だ。そして、当真と穂刈もあっさり同意を示す。
「最初は取っ付き難い奴だと思ったが、話してみればおもしれー奴だったしな」
「上手かったな、入隊時の指導が」
「気遣いができるし、俺も良く助けられたよ」
「そんで勉強もできて、戦闘も強い。何だこいつ」
『何何、最後になって急に褒めるじゃん...キモ...』
しかも何だこいつって失礼では？、と朝香は怪しむような顔をして4人を見る。香る匂いと言葉の意味が全く理解出来ず、もはや不審感を感じている朝香。
その様子に、4人は満足そうに笑う。
「最後いいもの拝めたぜ」
「いいな、女子高生らしくて」
「JKっぽいな」
「一応まだJKだと思うぞ」
4人の言葉に朝香はすべてを察する。
同級生と比べ、早い時期にボーダーに入隊した朝香は同年代と比べ異様に落ち着いていた。しかし、彼女も学校では普通女子高生である。興味本位だろうが、彼らは彼女の年相応の反応が見てみたかったのだ。
『...やられた』
朝香は、恥ずかしそうに4人に向かって笑った。
それは彼らが初めてみる、年相応の表情だった。
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にこ(プロフ) - この度はこんなにも素晴らしい作品を作成してくださりありがとうございます（ ; ; ）出会えたことにとても感謝しております！他の作品も楽しみにしております！完結までお疲れ様でした＾＾ (2022年1月31日 0時) (
レス) @page32 id: 122cc99496 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - 綺世さん» 楽しみにしてます！(*´꒳`*) (2021年11月2日 16時) (レス) id: 60475fc3e4 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - そるとさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！また作品を出した際にはよろしくお願いいたします。 (2021年11月2日 11時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - ワールドトリガーで一番好きな作品だったので完結したのがとても嬉しい反面寂しい気がします、次作も楽しみにしてます！ (2021年11月2日 7時) (レス) @page32 id: 60475fc3e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺世 | 作成日時：2021年8月11日 3時
