最後の晩餐�� ページ24
夕食を終えた一行はかげうらを出て、影浦は店に残り北添は空閑を玉狛まで送るとそこで別れることになった。
「帰ってくる時は連絡寄越せよ」
「ゾエさんにも偶には連絡頂戴ね！」
「短い間でしたがｵｾﾜﾆﾅﾘﾏｼﾀ」
三者、それぞれの言葉を朝香にかける。
その言葉達に、朝香は『ありがとう』と返す。
『ランク戦、頑張って』
手を挙げてそう返すと、背を向けて歩き出すのだった。
と言っても、一人ではない。ボーダーの男性陣は比較的紳士的な人が多い。つまり、ご丁寧に朝香と仁礼を家まで送ってくれるらしい。
「しかし早ぇな時間が経つのが」
「1か月前だもんな、あの騒ぎが」
「あの日、皆血眼になって朝香の事探してたな」
あの日とは朝香がボーダーを辞めることが公になった日の事だろう。思えば凡そ一月、あっという間だったなと朝香はマフラーに顔を埋めながら考えていた。
B級ランク戦の開始、引越しの準備、澤隊一時再結成、ガロプラ侵攻、玉狛第二との訓練...忙しなかったが、充実はしていた様だ。
「お前居なくなったら、澤さん寂しがるだろーな」
『しばらく寂しくて私の写真見て泣いてるかもね』
朝香の冗談に皆それぞれの反応をするが、共通してウケた様子ではあった。しかし、仁礼はいつもの快活さは無く妙に無口であった。
そして仁礼の自宅の前に着いた時、その顔に寂しさがじわじわと浮かんでいるのを朝香は見逃さなかった。
『らしくないじゃない、そんな顔して』
「...別に」
朝香が仁礼に視線を合わせてそう言えば、拗ねたように顔を逸らされてしまった。その様子に朝香は珍しく声を上げて笑った。
「な、なんだよ！」
『本当に光ちゃん可愛いんだから』
一頻り笑った朝香は、自身の首に巻かれていた月白のマフラーをするりと取ると仁礼の首に巻く。
『似合うじゃん、あげるよ』
「え」
『匂いと記憶は直結すると言われているんだよ』
朝香はそう言うと、白く長い指で自身のこめかみを指で指す。そして、ふわりと微笑む。
『寂しくなったら、嗅ぐといいよ』
「！そんなキモイことするか！！」
『どーかなー』
マフラーを必死に返そうとする事が分かっていたのか朝香は楽しそうにそう言うと付き添いの四人の背中を押しながら走ってその場を去った。
一方仁礼は逃げられてしまったことに溜息をひとつ着いたあと、マフラーを上げ鼻に当てる。
「...安心、してるな。確かに」
朝香の言葉は、間違っていなかったようだ。
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にこ(プロフ) - この度はこんなにも素晴らしい作品を作成してくださりありがとうございます（ ; ; ）出会えたことにとても感謝しております！他の作品も楽しみにしております！完結までお疲れ様でした＾＾ (2022年1月31日 0時) (
レス) @page32 id: 122cc99496 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - 綺世さん» 楽しみにしてます！(*´꒳`*) (2021年11月2日 16時) (レス) id: 60475fc3e4 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - そるとさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！また作品を出した際にはよろしくお願いいたします。 (2021年11月2日 11時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - ワールドトリガーで一番好きな作品だったので完結したのがとても嬉しい反面寂しい気がします、次作も楽しみにしてます！ (2021年11月2日 7時) (レス) @page32 id: 60475fc3e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺世 | 作成日時：2021年8月11日 3時
