最後の晩餐�� ページ23
「そーいやお前、
出来上がったお好み焼きを行儀良く食していた朝香に、影浦がそう話を振った。朝香は食塊を呑み込むと、影浦を見た。
『シバキ倒してたというか、向こうから依頼されたから追いかけていただけだよ』
「チカに逃げ方とかも教えてくれたな」
「やっぱあのワイヤー匂わせと素のハウンドは朝香の入れ知恵だったかー」
その会話を聞いていた村上が空閑に向かってやるな、玉狛と言った。今になって考えてみれば、迅の仲介があったとは言え元A級2位、現A級ソロ隊員の二人に稽古をつけてもらうなど超VIPである。
「それで、お前はどう思った」
『...主語が無いね。何の事かな』
朝香は澤を除き己の考察を、人に話したがらない。だからこうして、遠回しに回避しようとしたり、知らないふりをする事がある。
しかし、彼女はもうすぐボーダーを去り会うことが無くなる。聞けるのは、今しかないのだ。
「チカは、人を撃てると思う？」
最終的に聞いたのは、空閑だった。
そして、朝香は少し空閑を見つめた後再びお皿に乗ったお好み焼きを箸で切り分けながら口を開いた。
『撃てるでしょうね、彼女は人が撃てないんじゃないと思うよ』
朝香はそこで言葉を切ると、箸を止めた。
『彼女、撃つことで責められるのが怖いんじゃないかな。』
その言葉に、全員が首を傾げた。
その様子に朝香は小さく吹き出した後、切り分けたお好み焼きを一切れつまんだ。
『まあ、私の嗅覚が感じたのはそんな感じの感情だったけれど、あくまでも私の主観での意見。参考にはならないと思うよ』
そう言って摘んでいたお好み焼きを口に入れた。
その間も、朝香の言葉の意味がイマイチ理解しきれていない様子の空閑。うーん、と首を捻っていると再び朝香が口を開いた。
『いずれその時が来るよ、きっと』
「うーん、そうか」
まあいいや、と空閑が悩むのをやめて今度は別の質問をする。
「そーいやアサカ先輩はボーダー辞めて何するの？」
『調香師を目指して勉強をしに行くの』
ﾁｮｳｺｳｼ？と空閑が再び首を傾げる。しかしそれは、空閑だけではなかった。その場にいた半数が空閑と同様に首を傾げていた。「香りの調合をする人」と朝香が説明を入れると皆珍しそうに返事をするのだった。
「確かにアサカ先輩のSEとは相性良さそう」
『嗅ぎすぎて感度落ちるかもね』
朝香は空閑の言葉に冗談を交えて返すのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 291人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にこ(プロフ) - この度はこんなにも素晴らしい作品を作成してくださりありがとうございます（ ; ; ）出会えたことにとても感謝しております！他の作品も楽しみにしております！完結までお疲れ様でした＾＾ (2022年1月31日 0時) (
レス) @page32 id: 122cc99496 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - 綺世さん» 楽しみにしてます！(*´꒳`*) (2021年11月2日 16時) (レス) id: 60475fc3e4 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - そるとさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！また作品を出した際にはよろしくお願いいたします。 (2021年11月2日 11時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - ワールドトリガーで一番好きな作品だったので完結したのがとても嬉しい反面寂しい気がします、次作も楽しみにしてます！ (2021年11月2日 7時) (レス) @page32 id: 60475fc3e4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：綺世 | 作成日時：2021年8月11日 3時
