３８．歌舞伎町の死神 ページ40
花桐SIDE ※過去編
ある日、とある噂を聞いたの。
「中学生が歌舞伎町に？」
男「あぁ、最近暴れてるみたいでな」
「そうなの…。ちょっと気になるわ」
その人がいるところに連れて行ってもらった。歌舞伎町…、ここには両手で数えられるほどしか着たことがない。私にとってそんな重要な場所ではなかったし。
「…どの子？」
男「あれだ」
男の人が指した先には大の男を倒してその上に座っている男の子がいた。私と同じぐらいに見えるけど実際の所はわからない。もっと上かもしれないし下かもしれない。
「…まるで…死神みたいね」
男「…そうだな」
「少し話してみるわ」
男「おい！あいつは女でも容赦しねぇんだぞ！？」
「大丈夫よ」
止める男の人の腕を振りほどいて私は男の子の方へゆっくりと歩いていった。相手も私に気づいたみたいで山積みになっている人の上から降りてきた。痛そうね…。
？「誰、お前」
「私は花桐A、中学３年生」
？「半間修二だ」
…歳は言わないのね。でも…この雰囲気からして多分一個二個は年下だわ。まだ幼い。
「貴方がここ、歌舞伎町で暴れているって噂の？」
？「知らねぇ、だりぃ…」
手には罪と罰…、歌？小説？…どちらでもいいか。
「どうしてわざわざ歌舞伎町で？」
？「……」
…無視なの！？そんなに私に興味ない！？ちょっと傷ついたわ！
？「だりぃ奴だな、お前。何、殺されたいの」
「まさか。私はそんな命知らずじゃないわ。それに…、貴方に負ける私…想像できてないの」
この煽りで喧嘩を買うようならそこまで強くない…。
？「俺もう疲れてんだわ。またな」
…買わなかった。疲れてるとか言ってたけど…多分本音ね。自分の状態を把握し未来を見据えている…。賢いわ。
男「お嬢ちゃん、大丈夫かい」
「えぇ、何ともないわ」
気力のない言葉遣い…、何を考えているのか読めないし…、生気がないという表現が一番合ってると思う。
…この世界全てを嫌っているような、楽しみがない…そんな顔つきだったわね。
「…また今度何処かで会えるかな」
出来る限り歌舞伎町に足を踏み入れたくはない。私は風俗店のあの雰囲気とか匂いが好みじゃないから。あのキツイ香水と厚化粧…私には無関係なものばかり。
女は化ける…、本当にそのとおりね。って…女である私が何言ってんのかしら。
「…とにかく、今度会う時はここじゃなくて違う場所で会いたいわ」
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作者名：suffron* | 作成日時：2022年9月19日 20時
