14.私の過去 ページ16
花桐SIDE
私は…死んだ?刺された時に痛みは不思議と感じなかった、佐野の焦って止める声と私を刺した子たちの喜ぶ声が重なって聞こえる。意識はもうない、今ある五感は聴力だけ。
…!何処だろう、ここ。これは…夢かな。いきなり現実から仮想空間に連れ出されたみたい。足元がフワフワする…。
?「A」
?「A」
…あれは、私の両親?
?「お母さん!お父さん!」
あぁ…これは私の過去だ。…懐かしいな、ちょっと前までお母さんもお父さんも私の傍にいたのに今は誰もいない。兄妹もいないから私は天涯孤独だ。
どうして死んじゃったかって?…紫苑が殺したんだよ。二人を。
小さい頃の私はあまり頭が良くなくてお母さんたちが塾とか公文とかそういう習い事を何でもさせてきた。一問でも間違えたら殴られ、100点を逃したときには地下室の倉庫に閉じ込められる。酷かった…。そして…そんな親に対抗すら出来ない弱い私が大嫌いだった。
―過去編―
私「お母さん」
母「なあに?」
私「じゃーん!今回のテスト全国で1位だった!」
母「わぁ…!すごいわね!よく頑張ったわ、A!今日はごちそうにしましょう!」
お母さんは私が100点を取るととても喜んでくれた、私はお母さんの笑顔が大好きだった。綺麗で輝いていて、眩しかった。
でもお父さんは…、
父「1位を取ることなんて当たり前だ。今度は全教科100点を目指せ」
それよりも上を目指せと口酸っぱく私に言ってきた。お父さんの言ってることは間違ってないから私は何も言わずに毎日毎日勉強ばかりしていた。
これが4歳の記憶。4歳で五教科100点なんて今考えたらあり得ないよね。
5歳の時…、
皐「君が全国模試1位の、花桐Aちゃん?」
私はさっちゃんに会った。さっちゃんは天才で、私がわからない所を全部優しく教えてくれた。いつもニコニコ笑ってて話しやすくて、私はさっちゃんが好きだった。でも…さっちゃんが私の目の前に現れてから私の人生は180度回転した。
私「…2位…?」
一体誰が…1位を…。
皐「Aちゃん、やっとAちゃんを越せたよ」
…そっか、さっちゃんが。さっちゃんは天才だから…勝てなくて当然だよね。今まで勝っていたのが逆に不思議だよ。…私はそうやって自分に言い聞かせていた。
母「1位は誰?」
私「私にいつも勉強を教えてくれるお友達」
母「そう」
お母さんはちょっと悲しそうだった。
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年9月19日 20時