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三ツ谷SIDE
俺は心配になってベンチから立ち上がった。こういう時に連絡先を交換していたらとても便利なのに…。
三「…ったく、どこ行ったんだ」
行きそうな場所とかそういうの全然知らねぇからな。適当に探すか…、30分までには戻ってくればいいだろ。
三「白橋ー」
…流石に返事はないか。結構客の数も多いし、すれ違ったりしている可能性もなくはない。
「…あ、いた」
いきなり後ろから聞き慣れた静かな声が聞こえてきた。
三「ん?」
「三ツ谷さん。探したんですよ、さっきの店にいなかったから…。…もしかして、店から出た時に私がいなかったからあの場所から離れたんですか?」
勘の鋭い奴…。
「悪徳商法のセールスマンみたいな人に話しかけられて撒いてたんです」
三「そうだったのか…。こっちも勝手に離れてごめんな」
「いえ…、私もその場で断れたら良かったんですけどね。面倒になって逃げてしまいました」
苦笑いをしながら白橋は息を整えていた。結構走ったんだな…。白橋の性格の強さならセールスマンぐらいの男を一蹴できそうだけど…。
「欲しいものは買えましたか?」
三「うん、結構いいもの買えた」
「良かったですね。では帰りましょうか」
俺たちは店に戻った。1時前だけど白橋は早めに開店させるみたいだ。よくこんなに働いて職業病にならねぇな…。だって一日12時間労働、14日の内13日は店を開いて、定休日にもスーツを仕立てている。2週間で168時間とか…、俺なら死んでる。
…でも、絶対無理はしてる。前より細くなってるし、化粧で誤魔化してるけど目の下のクマが薄っすらと見える。食も細そうだしな…。
「今日の内に進められるところまで進めてしまいましょう」
三「りょーかい」
白橋は真っ白の生地に目を移し、裁ちばさみで一気に裁った。あまりにも手際が良すぎてつい見入ってしまう。服作りの天才…なんだろうな、白橋は。でなければ、こんなに店は繁盛しない。
…!いつの間にか全て裁ち終わっている…。俺も作業しねぇと。
………、
…何時間経った?何度か客が来店して白橋が相手しているのを見ていたけど、時間は全くと言っていいほど気にしてなかった。
「……」
三「うぉっ!」
顔を上げるとじーっとこちらを見ている白橋がいた。
「営業時間は終了しました」
三「…もうそんな時間か」
「はい」
三「きりの良い所までやっていいか?」
「大丈夫ですよ」
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suffron*(プロフ) - ゆいとこさん» コメントありがとうございます!三ツ谷君が最推しなんで結構序盤絡ませていきたいと思ってるんです!これからも頑張りますね! (2022年11月18日 15時) (レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいとこ(プロフ) - 続編移行おめでとうございます!(おめでとう…なのか?)いつも楽しく読ませていただいてます!!三ツ谷くん出てくるんですね!今後の展開がすごく楽しみです♪無理せず更新頑張ってください!! (2022年11月18日 15時) (レス) @page1 id: e4df59fc58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年11月17日 23時