* ページ47
三ツ谷SIDE
白橋の様子がどうもおかしい…。作業は丁寧だけど、どっか上の空だ。昼ご飯も結局食べなかったし。
でも生地屋に着いたら、少し表情が明るくなったように見えた。やっぱり服を作ることが何よりも好きなんだな。目がキラキラしている。
「三ツ谷さん。これどうですか?質感は想像通りですし、頼んだ生地よりも軽めです」
三「…いいんじゃないか?」
「これが…150×10で2000円程度か…。最低でも2mは欲しいけど、少し長さが足りないから…4m分買おうかな」
8万か…。ウェディングドレス用の生地ならそれぐらいしてもおかしくはないよな。ちょっと高いけど…。
「買ってきますね」
三「わかった」
俺は白橋の後ろ姿を見て一瞬ドキッとした。ただ生地の巻き芯を抱えて歩いているだけなのに、あまりにも儚くて綺麗だったからだ。よくよく考えると、白橋の顔は整いすぎていると思う。無駄なものを全て切り取ったような端正な顔。
白橋って彼氏とかいるのか?…いや、いても全くおかしくはない。どちらかというといない方がおかしい。あの店の来る客の中には白橋目当てで来ている奴もいそうだ。
「買ってきました。まだ1時まで結構時間がありますね、どこか寄りたいところなどありますか?」
三「あ〜、寄りたいところ…。一か所だけいいか?」
「大丈夫ですよ」
俺は荷物を持ち、空いた方の手で白橋の手を掴んだ。
「…!」
三「デートな」
「……今だけですからね」
一応了承はしてくれたみたいだ。…でもそんな悲しそうに笑うなよ。
三「嫌なら…振りほどいて」
「…そんな酷いことしません」
三「じゃあ…、こうしても怒らない?」
俺は指を絡めてさっきよりも強く握った。少し肩を揺らしたが特に嫌がる様子はなく、ただ笑っていた。…やっぱりどっか変だな。元からあまり笑うような奴ではないからか…。
「…ここですか?行きたい店というのは」
三「あぁ」
「…綺麗な雑貨店ですね。誰かに贈り物でもするんですか?」
三「ちょっとな。少しだけ待ってて」
店の中に入り、俺はお目当てのものを探した。
三「…お、あったあった」
意外と早く見つかった。
店を出たら、さっきまでいた場所に白橋はいなかった。トイレか?待っていればすぐに来るよな。
三「……」
…10分ぐらい経った気がする。白橋はまだ戻ってこない、腹が痛いだけならいいんだけど…。もし誰かに連れ去られていたら…。
263人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
suffron*(プロフ) - ゆいとこさん» コメントありがとうございます!三ツ谷君が最推しなんで結構序盤絡ませていきたいと思ってるんです!これからも頑張りますね! (2022年11月18日 15時) (レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいとこ(プロフ) - 続編移行おめでとうございます!(おめでとう…なのか?)いつも楽しく読ませていただいてます!!三ツ谷くん出てくるんですね!今後の展開がすごく楽しみです♪無理せず更新頑張ってください!! (2022年11月18日 15時) (レス) @page1 id: e4df59fc58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:suffron* | 作成日時:2022年11月17日 23時