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白橋SIDE
私を遮って竜胆さんはそう言った。
「前も言ったでしょう。…私は貴方ともう関わることはできないと」
竜「…ッ…」
「貴方が…何と言おうと…。私は…決めたんです」
関わったことを後悔はしない。微かな幸せを…確かに感じられたから。
「…別れてください。結局好きが何なのか理解できませんでしたが…、もう終わりにしましょう」
これ以上…、貴方に縋りたくない。会いたくないのに、それでもまだ近くにいる貴方を求めてしまうのは…惨めだ。そんな自分が…嫌で仕方がない。
「寂しい思いを…したくないんです。貴方が私の目の前からいなくなれば…今度こそ私は諦めがつく。私は寂しがり屋ですから…、こう見えて」
竜「知ってる」
「…え?」
知ってる…?この話は九井さんにしか…。…あぁ、職場が同じなら私の話なんて筒抜けか。やれやれ…、何でもしゃべっちゃうんだから。
竜「寂しいなら…俺が毎日傍にいる。毎日会いに来る、お前の気が済むまでずっと」
「そうじゃ…ない」
…私の気持ちが上手く伝わらなくて悔しくなってきた、泣きたい。そもそも私が竜胆さんと別れなければならなくなったのは、他の人に危害が及ぶのを避けるため。…私の為じゃない。なのに…、この人はさっきから私のことばかりを心配してくる。
寂しい思いをしたくないんだから…、貴方から立ち去ってよ。貴方が何も言わずに立ち去れば…、それで終わる話だ。
「竜胆さん…、一旦話を戻しましょう。私が貴方と別れたいと言った理由は、今回お客さんに危害が加わってしまったからです。…病院でそう言いましたよね?」
竜「俺は他の奴なんてどうでもいいんだよ」
「私はよくありません!あんなことが度々起これば私は店を経営できなくなる…。私から仕事がなくなってしまったら…、私はどう生きていけと…?」
結局のところただの自己満足でしかない。客を喜ばせるためにスーツを仕立て、その笑顔を見ることで私は“ここ”に立っていられる。私から…奪わないで…。
お願い…、もう何も奪わないで…。
竜「…A…」
「お願いです…。私が好きなら…、私を大切にしたいなら…、別れてください」
竜「……そんなに…嫌か…。俺といるのは…」
「違っ…、そういうわけじゃ…」
貴方といるのは嫌じゃない。だから…私も辛い、とても辛い。
竜「わかった…。別れよう、俺らの関係は今日で終わりだ。随分短かったけどな」
「…ッ…、はい」
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suffron*(プロフ) - ゆいとこさん» コメントありがとうございます!三ツ谷君が最推しなんで結構序盤絡ませていきたいと思ってるんです!これからも頑張りますね! (2022年11月18日 15時) (レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいとこ(プロフ) - 続編移行おめでとうございます!(おめでとう…なのか?)いつも楽しく読ませていただいてます!!三ツ谷くん出てくるんですね!今後の展開がすごく楽しみです♪無理せず更新頑張ってください!! (2022年11月18日 15時) (レス) @page1 id: e4df59fc58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年11月17日 23時