26話 ページ26
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蓮くんは私とみっちゃんの間に立つ。
けれど、視線は合わない。
槍門「遅かったやん。何してたん？」
川尻「相談しとった！今日は個別練なかんじ？」
相談。
きっと、スカウトの事だろう。
何も知らない昔の私なら「なんの相談？」
って無邪気に聞いていたと思う。
自慢の『ノリ・勢い・なんとなく』は
どこに行ってしまったというのだ。
蓮くんが……蓮くんと話すのが、怖い。
どうしてかは分からない。
有川「蓮くんキビシ〜。
そんな束縛強いとAちゃんに逃げられちゃうっすよ？」
川尻「有川だからあかんの」
有川「どういうこと？！」
槍門「そういうことやろ」
「はは…」
抜け出すタイミングも分からず様子を見守っていると、
不意に蓮くんの視線が私の方を向いた。
優しく微笑むその笑顔は私の大好きな表情で、
普段と何ら変わらない蓮くんのまま。
川尻「今少し、いい？」
「えっ…」
川尻「ちょっと2人で話したくて…」
だめかな、と小首を傾げるのはあまりにもあざとい。
昔の私なら「かわいい！」と悶えていたのだろう。
でも今は、体が固くて
頭が真っ白で
血管の中が冷たくなったみたい。
どうにか頷く私に嬉しそうに笑った蓮くん。
「おいで！いこ！」と手を繋がれ引かれる。
無邪気な蓮くんと私の気持ちがまるで正反対だ。
でも心のどこかで繋がれた手の熱が嬉しくて
振り解けない自分が居るのも事実。
振られる練習しなきゃ。
別れて欲しいって言われたら、
「わかりました！」ってすぐに返事するんだ。
蓮くんは優しい人だから、変に気を使わせては困らせてしまう。
いつもの私通り……ヘラヘラ笑って…っそれで……、
ふと、前を歩く蓮くんの足が止まる。
振り返った蓮くんに違和感があった。
なんだろうと顔を上げれば
どこかびっくりしたような顔の彼。
川尻「ど、どうして泣きそうになっとると…？」
「ぇ…」
あわあわと珍しく慌てた蓮くんは
ぎこちない動作で私を引き寄せる。
細くて、けれど思ったよりがっちりとした体に包まれる。
背に回る手が優しく背中をぽんぽんと撫でてくれた。
ノリも勢いも無くなった私には
どうやら限界だったみたいで。
「…………振るくせに、優しくせんといてよ…っ」
彼のシャツにしがみついて、
縋るかのように訴えてしまった。
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Shiu(プロフ) - ぴさん» コメントありがとうございます！お返事が遅くなってしまってすいません…！最近ようやく私生活が落ち着き、他作品から完結に向けてお話を進めています。こちらのお話もきちんとした形に終わるよう更新する所存です、もし良ければお待ちいただけると幸いです…！ (4月10日 21時) (
レス) @page29 id: de23370fb2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 感情移入して泣きそうになりました…更新楽しみにしてます… (10月1日 3時) (レス) @page29 id: 69b32d86ae (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - ななしさん» こんばんは！暖かくやさしいコメントをありがとうございます…！終盤直前で停止させてしまってすいません(；-；)完結させたい気持ちはとてもあります！また楽しく読んでいただけるようがんばります!!励みになりました、ありがとうございます！ (6月21日 19時) (レス) id: 4d51508915 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - コメント失礼します。主人公の性格も蓮くんも人間らしくて素敵で、読んでいて落ち着く(表現変かもしれません)お話でした⋯！更新まったり楽しみにしています✨ (2022年6月20日 15時) (レス) @page29 id: 791bab0b0f (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - ^^さん» コメントありがとうございます！数少ない小説の中から見つけて下さりありがとうございます(*´-`*)妄想空想こじらせた小説ですが、実際の蓮くんはもっとかっこよくて魅力的な方です…！ぜひ堕ちましょう💓💞更新頑張ります！ (2022年6月9日 5時) (レス) id: 4d51508915 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shiu
| 作成日時：2021年9月8日 2時
