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 A 視点


 バチン、と音がトンネル内に響けば、
 身体中に切り傷が刻まれていく。


A
( 呪霊は動いてない、だ
 けどハサミに付着してる血の量が増えている…気がする… )


A
( あの音が術式が発動している合図みたいなことか…、 )


A
( あのハサミでの物理攻撃にさえ、…気をつければ、 )


 考えが頭を巡っている中、またバチンという音がする。


A
「 っ、ぁ…、 」


 腹の辺り、黒い制服にじわじわと血が広がっていくのが分かった。


A
( 術式の発動条件が分からない限り、
 迂闊に動くことができない… )


A
( だけど術式を幾度と見ていたら俺も憂太も死ぬ、
 または " 里香 " が出る。 )










 ____ 憂太の " 里香 " だけは絶対に出さないで。










 これが五条先生から告げられた憂太との任務の注意点、


 里香が出てしまった場合、
 憂太と五条先生は上から殺されてしまう。










A
「 っ… 」


 目の前がぐにゃりと歪んだ。


 咄嗟に剣を力強くコンクリートに刺して倒れるのを阻止した。


A
( …呪力は残ってる、だけど身体は限界を迎えてる… )


A
( 自分の限界を超えて、呪力を絞れ…、! )


A
「 " 四神操術 北 玄武 " 」


 自分の周りに八匹の蛇が顕現した。










A
「 " 術式付与 玄武法典斧(げんぶほうてんざん) " 」










乙骨
「 …お、斧…、…? 」


A
「 … 」





 自分の身体よりも大きい斧を持つ。


 重い、とかそういうのはその時は何も感じなかった。





 気づけば斧を一振りしていて、呪霊のハサミを壊していた。





呪霊
『 ワたシぃノ、ハさみ…はサミ… 』


A
「 …、っ… 」


 ハサミがなく丸腰の呪霊、祓うなら絶好のチャンスなのに
 身体は動かない。





 貧血だ ____





 その時だった。



乙骨
「 っ…! 」


 憂太が血まみれになりながらも呪力を込めた刀で
 呪霊を祓ってくれた。


A
「 …、は…っ…、、ごぽ、っ… 」


 それを見てから自身の血溜まりの中に倒れる。


 血を吐きながら意識は朦朧としてきた。





A
( …死ぬ…寒い…、 )



 カタカタと震える手でスマホを取り出して、
 補助監督に電話をかけた。


 相手が電話に出たのを確認して意識は闇へと沈んだ。

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作者名: | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/72190cc3072/  
作成日時:2024年3月25日 20時

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