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 乙骨 視点


A
「 …トンネルから出よう、もしかしたら変化してるかもしれない。 」


乙骨
「 は、はいっ… 」


 先輩は淡々と告げるが、少しだけ顔色が悪いように見えた。

 その原因は十中八九さっきの頬の傷だろう。


乙骨
「 …報告にあった髪の長い女…もいないですしね、、 」


A
「 そうだね、そう考えればそうだわ…。 」


 一歩、また一歩と二人してトンネルの入り口に近づいていく。


乙骨
「 あれって…、 」


 目に映ったのは倒れている複数人の人影だった。


 僕は急いでその人たちに近づく。


A
「 …!待って、、 」










A
「 " 憂太 " ____ ! 」










 先輩が焦った声を出したが急には止まらないのが人間だ。





乙骨
「 っぅ゛あ゛っ ____ !?! 」


 突然、背中に焼けるような痛みが走った。


A
「 憂太っ!! 」


乙骨
「 っ゛…!! 」


 先輩が走って僕に近づくと、
 それと同時にズル、とした感覚がしてさらに痛みが増した。

 
A
「 …、、憂太、動くな…なるべく俺の後ろにいろ、
 …" 死んでも " 守る。 」


 痛さで蹲った僕の前に立つ先輩がそう言う。


A
「 …オマエか、沢山の人を襲った呪霊ってやつは、 」


乙骨
「 …っ…、え…? 」


 ちら、と目線だけ上に上げればボロボロの白い服を着た女…
 髪は乱れていて、手には大きな血濡れのハサミを持っていた。


乙骨
( あのハサミに刺されたのか…僕…? )


呪霊
『 き、きヒィ… 』


 その時、バチン、と大きな音が聞こえた。


A
「 っ…! 」


 コンクリートでできた地面に血がびしゃびしゃと音を立てて
 血溜まりができる。


 先輩と、僕の流れている血だ。


乙骨
「 せ、…ぱ、い… 」


 僕を庇っている先輩は頬の傷以外に身体中に深い傷ができていた。










 A 視点


A
( まずい、まずい…!
 しくった…このままじゃ、憂太も俺も出血多量で死ぬ、 )


 自分の目にも中学生たちが倒れているのは見えた。

 だけど今考えれば俺たちを油断させる為の罠みたいだ。


 近づいた憂太が呪霊の女が持っていた大きなハサミで
 背中を刺されてしまった。


 白い制服に赤い血がどんどん広がっていく、


 そして自分は呪霊の前に剣を構えて立つ。


A
( 間違いない、アイツが報告にあった呪霊だ、
 さっき切ったのはあの呪霊の分身みたいなものか…? )

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作者名: | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/72190cc3072/  
作成日時:2024年3月25日 20時

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