End of Line 2 【登坂広臣】 (ページ30)

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…

「いい？3日だよ？」

釘をさす彼の声が少し震えている
直接会ってなくてよかった

3日間の猶予

残した仕事を片付けたい

そういった私に、彼が与えた最後の時間だった

『 … 大丈夫だよ、待っててね』

心にもないことを言うことは
案外簡単で。
彼を刺激したくない、その一心。

通話が終わった携帯を持ったまま、ダランと腕が垂れた

ふらつく足そのままに

楽譜が広げられた机に手を着く

『 …… せっかく、出来てたのに、、』

おみくんと作った

大切な曲

One last timeに続くソロツアーの為の曲

" Smile Moon Night "

そして、ヒロさんから密かに渡された
三代目のためのバラードは手付かずのまま

" 2曲。君の感性のまま、曲にしてみないかい？ "

自由に。

気持ちを入れてもいい。境遇でもいい。

そう言われて渡されたのが、

この楽譜で。

残された時間に、全てをつぎ込んだ。

ヒロさんには作曲の為にお仕事を入れないようにしてもらって

テツヤさんにも直人さんにも壱馬にも
通い始めてくれた岩ちゃんにも、お店は休みと連絡をして。

でも、

いちばん大切にしなきゃならない彼には

何も伝えられなかった

『 … 許してください』

何も伝えないこと

過去にまだ怯えること

楽曲だけを渡していなくなるなんて、仕事放棄にも程がある

私の想いだけで曲を描いたら

あまりにも酷くて

当てつけのように

" EGO "

そう名付けた曲を提出した

…