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酷く苦しそうで

きっと、
相当しんどい思いさせてる。

だから、一生懸命話そうとしてくれてる…
それだけでも十分なのに。



俯いてるAの手をそっと包んだ



やっと顔が上がって

お互い逸らすことなく、見つめ合った





その沈黙を破ったのは Aで。









『 … まえ、弟は実家って言ったよね 』







「シュウさんだよね」






『そう。



でも、ホントは、もういない、の … っ、』








包んでた手に

きゅって力が籠った









『 …… 私のライブに来る途中だった。



その行き道で事故に遭って

ライブが終わる頃には、みんなもう息を引き取ってた





… わたしが、ライブに来て欲しいなんて

言ってなかったら… ッ 』









絶対に、違う。

誰だって来て欲しいって思うことは
間違ってなんかない。









『その日から、



声が、…… 出なくなって





どんなにトレーニングしても

たくさんの治療を受けても
ダメだった。





そのことで事務所の人と揉めて




逃げるみたいに辞めちゃった…





… みんなから、



信じてた人たちから



…私の歌は呪いだ。家族を殺 した声だって

ずっと言われ続けた。






その時に、


付き合ってた人がいたんだけど
少し怒りやすくて



そんな人でも

頼れる人がいなかったから馬鹿みたいに縋ってた。





でも、



ッ、…1回喉を踏みつけられた事が、あって …






殺 され、る…って思った




けど、

家族を呪った私なんか


もう、死 んじゃってもいいって



思ってた。







でも、






おばあちゃんも四ノ宮さんも、


私の歌が、大好きって言ってくれてたの…





おばあちゃんだけ残せない

歌は辞めても、
…生きることは続けなきゃって、、 』









Aの嗚咽が

店内に静かに響いた





小さな彼女が背負っていた哀しみは

俺の想像を遥かに超えていて







俺なんかが、
どんな言葉を掛けてあげられるのか分からなくなった






せめて、
彼女がひとりで泣かないように







小さなからだを抱きしめること

それしか出来なかった









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作者名:miu:miku | 作成日時:2020年9月15日 22時

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