Colorful stories 8（W.短編集）

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「おつかれ、神ちゃん」
「おつかれ。…しげ、どうしたん？怖い顔して」
「ちょっとええ？」


戸惑う神ちゃんの腕を引いて、ソファに並ぶ。
左に感じるぬくもり。
目を閉じて、味わってみる。

バクバクと鳴る心臓の音が教えてくれる。


あぁ、好きやねんな、俺。
神ちゃんのこと。


目を開いて覗き込んでみると、不思議そうに見返す茶色い瞳。


「神ちゃん、俺…神ちゃんのこと、好きみたい」
「…は？」


楽屋からは、
お〜、と歓声が上がる。



「俺、がんばるから」

「神ちゃんに好きって言わせてみせるから！」

「やから覚悟しといてな？」


カッコつけて言うたけど、心臓は壊れそうに音を立てている。
明らかに戸惑っている神ちゃん。
そんな反応も、今はそれ以上見てる勇気はなくて。


「自販機行ってくる」


ポケットに手ぇ突っ込んで、平気な顔して楽屋を出ておきながら、ドアを閉めると、すぐにその場にへたり込んだ。



「やって？神ちゃん。どうすんの？」


小瀧の嬉しそうな声が漏れ聞こえてきた。

てか、やめてや！
聞きたないから出てきたのに！
かと言うて、立ち上がるHPは、もう俺には残ってない。


「ええんちゃう？お似合いやと思うけど。」
「しげちゃん、本気やん！考えてやり？」


淳太やらハマちゃんやらが、神ちゃんの背中を押してくれるから。
怖いのに、ついつい聞き耳を立ててしまう。


「うん…」

微かに聞こえた、好きな子の声。
神ちゃんの声だけは、聞き逃す気がせえへん。

3→←魔法よ、解けないで（催眠術＃3）

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