case.9 ページ10
Aがポアロに初来店してから数日。
自宅の一室で彼女はキーボードの音を響かせ、ひたすら手を動かしていた。
ここ数日、部屋からは一歩も出ていない。
立て続けに入ってくる"情報屋"としての仕事を処理する為に、部屋に籠っていたからだ。
カーテンの閉まった薄暗い室内で、複数のモニターのライトが彼女の周りを照らす。
その中の情報を脳内に叩き込み、あらゆるデータから必要なものだけを絞り込んで相手にしか分からないような暗号を本文の中に組み込み、更にパスワードを掛けて厳重にロックし、送信ボタンを押す。
ログを全て削除し、足跡が残らぬように必要な処理を施した後で漸く彼女は一息ついた。
くわぁ、と大きな欠伸が漏れる。
『あー…ねむ』
食事も睡眠もまともに取っていなかった故に、空腹感も睡魔も襲ってきているが、さて、どうしようとAはカーテンを開けてみた。
即座に閉めた。
想像以上に日の光が眩しく、長時間暗い室内で画面に向かっていたAの瞳には痛恨のダメージなのであった。
取り敢えず何か腹に入れようと冷蔵庫を開けるが、腹の足しになるような物が入っておらず思わずAは唸る。
食べるものがないなら寝ればいいのだが、先程の光で何故か目が冴えてしまったらしい。
あの太陽光で外に出る気がだいぶ削がれてしまったが、冷蔵庫のストックが絶望的な状態では、今日どころか明日以降の食生活も危ない。
仕方がないので、渋々ながらもAは外に出ることにした。
シャワーを浴びて、ダメージジーンズにシンプルな黒のTシャツ、その上にフード付きのカーディガンを羽織り、フードを被る。
コンタクトは…どうやら切らしているらしい。
ここに来て自分のものぐさぶりに頭を抱えたA。サングラスを掛けてパソコンをシャットダウンしてスマホと財布と自宅の鍵だけをポシェットに入れて家を出た。
262人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
trr - 続編待ってます!!!! (2018年12月10日 5時) (レス) id: 4ac3c5bb30 (このIDを非表示/違反報告)
咲空(プロフ) - 坂竹会長さん» ご指摘ありがとうございました!(´・ω・)っ【ティッシュ】 (2018年10月19日 13時) (レス) id: 1695bf9265 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - 更新頑張ってください。夢主ちゃんの設定がドストライクです。貴方が更新するたびに、僕の鼻からイチゴオレです←汚なッッッッ。 失礼しました。_ーд#_ (2018年10月14日 10時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - ページ26、名前変換なっていませんよ。(名前)と向き合うってなってます。間違っていたらすみません 失礼しました (2018年10月13日 21時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、すごく面白かったです! (2018年9月27日 15時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:咲空 | 作成日時:2018年5月17日 1時