情報屋Nの受難【名探偵コナン】

case.39 ページ40

＿＿＿＿＿時は三日前に遡る。



Aは、自身のPCに届いている依頼を整理しようとメールフォルダを開いていた。


そこに届いていた一通のメール。



"鈴木次郎吉"




Aは、その名前に聞き覚えがあった。


鈴木次郎吉、72歳。鈴木財閥の相談役で鈴木財閥の会長、鈴木史郎の兄。人力飛行機世界一周を成し遂げた際に怪盗キッドの事件により新聞の一面及び二面をキッドが飾ったことで怪盗キッドにただならぬ恨みを抱いている、と…。



Aは思った。



そんなことで恨まれるキッド可哀想。




やっぱ金持ちの感覚は常人には理解できないわ。



念のためウイルスが無いかどうかを確認してからメールを開いた。




"拝啓 千澄A様

三日後の夜、怪盗キッドが我が鈴木財閥所有の月光の女神を盗みに来るという予告状が届きました。貴方が優秀な元ICPOの情報諜報部員だと知り、ご連絡を差し上げた次第。もしお力添えをいただける様であれば、鈴木財閥所有の美術館に三日後、当美術館に足をお運びいただきたく。お受けいただける様であれば、一度鈴木邸にお越しください。なお、当メールは拝読後削除願う。"






何のツテを辿って私が元ICPOにいた人間で日本で情報屋をしてると知ったのかは知らないが、そこは流石鈴木財閥といったところ。




鈴木邸や美術館の情報を一切載せず、電話でもなくメールで態々連絡を寄越し、しかも見る限りこのメールアドレスも本人のものだと推測する。



此方がそんな情報を渡さずともわかってるであろうことを先方は推測しているわけだ。



面倒だがあの鈴木財閥直々の依頼だ。
悪い話ではないだろう。



重い腰を上げて出掛けた。



＿＿＿＿そうして辿り着いた鈴木邸で、"報酬は弾む"と言われてしまえば、もはやAに断る理由はなく、そして現在に至るのであった。

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