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彼氏(仮)が出来て1週間が過ぎた頃、私の前に大きな壁が遮立った。
壁と言ってもそれは簡単に乗り越えられるもので全ては私の選択次第なのだがこの壁は中々消えてくれない。
また逃げるのか、それともこの安室さんと乗り越えるのか、と言っているみたいだった。
それは流石にわからない。
けれど確実に私はその壁を乗り越えようと手をつけていた…。
それしか私には出来ないと解っていたから。
それは遡ること数時間前の話になる。
「…電話?」
聞き慣れた着信音に私は誰からかも見ず電話を取ったことをこれまで後悔したことはない。
Aと名前を呼ぶ散々聞いてきた声に警報が鳴る。
母だ。
「ど、どうしたの?珍しいね」
『んふふー実はねー今そっちに向かってるの!』
「…………はい?」
『ほら、お父さんの命日なのにAったら顔も出さないから…忙しいんじゃないかって心配で…』
「あ、うん、今ちょっと仕事してて」
『そうなの?』
「世間知らずなんて歳でもないし」
『それなら家に帰ってきなさいよー』
「あははは…」
まずいまずいまずい!!!
なんでこっちに来てんの!?
いつも来る前は連絡してって言ってるのに!?
『もう少しでそっちに着くからいつもの駅まで迎えに来てねー!』
「は、はーい」
無機質な機械音にドクドクと流れる血液。
もうこのまま時が止まって欲しい。
静かになった部屋に鳴り響くのは時間を刻む秒針の音。
こんなことしてる場合じゃないのに、とAはスマホをやっと耳から離して画面をタップする。
“安室さん♡”の文字の下には通話開始ボタン。
渋る指先を視界に収めAは静かにそのボタンを押した。
「あ!Aー!」
「来る時は連絡してっていつも言ってるのに…」
「驚かせようと思って!ってそちらの方は?」
私の後ろにいた安室さんは初めまして、と安室スマイルを貼り付けて私の母の前へと踏み出す。
差し出された安室さんの手にあらまぁ、と頬が染まる母。
うん、わかってるよ、お母さん面食いだから。
長旅ご苦労様です、なんて自分の車へエスコートする安室さんに私は頭が痛くなる。
このまま彼氏(仮)だけどうまく行きますように…。
ああ…神頼みなんてしないのに今だけは本気で神様に祈りたい。
何事もなく母が帰りますように…。
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「まぁ、Aとお付き合いを…」
「はい、それはもう誰もが羨むほど」
黙って殺意マジック。
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+ちっく(プロフ) - ぬこぬこさん» コメントありがとうございます(*´ω`*)いくら有名な探偵でもちょっとのお色気はお約束なので安室さんにも織り込んでみました(・∀・)楽しく見て頂けるようにと投稿しているのでそのように言ってくるととても嬉しい限りです(*´ω`*)コメントありがとうございます!! (2019年3月10日 1時) (レス) id: 0aa7522e6f (このIDを非表示/違反報告)
ぬこぬこ(プロフ) - 安室さんが冷静な目で谷間ガン見してるの想像したら腹痛いwww (2019年3月9日 13時) (レス) id: a359276646 (このIDを非表示/違反報告)
+ちっく(プロフ) - 明里香さん» ありがとうございます!!誤字脱字の指摘本当に感謝致します(´;ω;`)読んでいる方にもちゃんと理解して貰えるように誤字脱字を少なくしていきます!(;ω;´)読んで下さりありがとうございます! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 6cb750888f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 39話に誤字がありました。「飲んだいた」ではなく、「飲んでいた」です。 (2018年7月15日 0時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 1話に誤字がありました。「楽しうな」ではなく、「楽しそうな」です。 (2018年7月14日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+ちっく | 作成日時:2018年7月9日 17時