綺麗な薔薇には棘がある ページ10
中庭に入る。雪が降っていた。肌寒いが上着を取りに行くのも面倒なので我慢した。
雪に構わず、私はどんどん中庭の奥の方へ向かう。ヒールのピンの部分が雪の中に埋もれる位だからかなり積もっている。
転ばないように気を付けて歩いていると、奥の方からガサッという音が聞こえた。
誰かいるのかな。
音がした方へ向かう。
歩き進んで行くと、花園が見えてきた。
花びらや葉に雪が積もった黄色い薔薇が月明かりに照らされている。
幻想的な光景だった___
私は花園が気になったので、花園の中に入ろうとしたら、花園の入口らしき場所に人がたっていることに気付いた。音をたてたのはこの人か。誰か気になって声をかける。
『こんばんは』
声をかけられた人は少しビクッとしてから、軽く頭を下げた。
『素敵な花園ね』
微笑みかける。
「あ、あ、ありがとう」
返してくれた。
この人の名前も顔も知らない。とりあえず、名前を聞こう。
『お名前は?』
「イソップ・カールです」
小さい声ながらも返してくれた。
人が苦手なのかな。
『私はA』
ラストネームは必要無いだろう。
そう思い、ラストネームは伝えなかった。
そして、もう一つ気になったことをイソップに聞く。
『パーティーには行かないの?』
「貴女こそ」
同じことを返された。
『パーティーの間の休憩よ』
「はあ」
『で?』
聞き返す。イソップは少し俯いた。話したくないのかな。
無理に話してもらうのは悪いと思い『やっぱいいわ』とだけ答えた。話題が無くなったので沈黙が訪れる。
『薔薇、好きなの?』
思い切って聞いてみた。
「まあ」
一言だけ返ってきただけだった。
また沈黙が訪れた。
「パーティーに戻らなくて大丈夫ですか?」
イソップは私をパーティーに戻らせようとする。一人がいいのだろう。しょうがない。
『そうね』
私はそう返事するとイソップの側へ寄った。
イソップの手を取り、手の甲にキスをする。
『じゃあね』
イソップが頬を赤らめる。恥ずかしさを隠すようにイソップは上を向いた。
私はそれを見ると、パーティーへ戻るために来た道を引き返した。
137人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「逆ハー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Clay.(プロフ) - さめさん» 実は少し、、、自然と似ちゃうんですよね。やっぱり服とか変えた方が良いんですかね、、、 (2019年12月9日 6時) (レス) id: eccd71672a (このIDを非表示/違反報告)
さめ(プロフ) - 表紙?のやつってもしかしてキルマー参考にしたりしました?(似てたので違ったらすみません) (2019年12月8日 23時) (レス) id: ebdf180e41 (このIDを非表示/違反報告)
Clay.(プロフ) - 暇林檎さん» 閲覧してくださり、ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年12月7日 19時) (レス) id: eccd71672a (このIDを非表示/違反報告)
暇林檎 - 雰囲気が大人っぽくて凄い面白いです!!頑張ってください! (2019年12月7日 17時) (レス) id: 21d25cd3cb (このIDを非表示/違反報告)
Clay.(プロフ) - yさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年12月3日 7時) (レス) id: eccd71672a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Clay. | 作成日時:2019年12月1日 16時