キス魔の私。【第五人格】

彼 ページ22

「あー、そろそろ行かなきゃな」

ナワーブはそう言い、席から立ち上がる。
朝食は既に食べ終わっていたそうだ。

『ま、頑張れ』

「そう言われなくたって頑張るよ」

イライラしながら彼はそう返し、部屋へ続く廊下の方へ行ってしまった。
ナワーブが部屋へ向かうのを見届けていると、朝食が運ばれてきた。
今日の朝食は、マーガリンが乗せられたフランスパンのようだ。フランスパンの一切れをフォークで刺し、口の中へ入れる。マーガリンが口の中に広がる。朝から美味しいものを食べれるなんて、幸せ者だ。

「いつもと髪型が違うわね」

隣の席に座っているエミリーが私に話しかける。

『気分転換程度に変えてみたの』

「似合ってるわ」

エミリーは、にこっと笑いながらそう言ってくれた。褒めてくれたのが嬉しかったので、毛先を無意識に触ってしまっていた。

「ここはもう馴れた？」

『少しは』

「何か分からないことがあったら、いつでも言ってね」

『ええ』

頷く。エミリーは私が了承したのを確認すると、席を立ち上がりキッチンの方へと向かった。私も慌てて朝食を食べる。

朝食を食べ終わったので、キッチンに食器を持っていき、調理してくれたノートンに美味しかったと一言言い、ゲームを観戦出来るホールへ向かうことにした。


階段を下り、ホールへ向かう。既にゲームは始まっていた。サバイバーは、傭兵、調香師、バーメイド、庭師だった。ハンターは勿論、彼。


彼が写真機を手に取り、シャッターを押す。写真が撮れたと同時に彼は、写真機から映し出されている写真の世界へと入って行った。彼は写真世界の中で庭師とバーメイドをダウンさせ、チェアに縛りつけた。


「厄介ですよね。彼の能力」

ハンターのリッパーさんが私に声をかける。いや、貴方も中々厄介な能力持ってますよね。

『あの後どうなるの？』

気になったので質問をする。

「まあ、見とけば分かりますよ」

リッパーさんの言葉と同時に写真世界が崩壊する。それと同時に、庭師とバーメイドがダウン状態になっていた。

『強い』

「私もあの能力が欲しいですね」

『バランスが崩れるでしょう』

私がそう言うとリッパーさんは、しゅんとした。そうこう話しているうちに庭師とバーメイドがチェアに縛り付けられていた。バーメイドの方は、もうすぐで飛ばされそうだ。

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