キス魔の私。【第五人格】

綺麗な薔薇には棘がある ページ14

フォークとナイフを貰って、パンケーキを食べやすい大きさに切って口にいれる。ふわふわした生地に甘い蜂蜜がかかっている。美味しい。

「あー、そういやお前、今日、試合だよな？」

ナワーブがパンケーキを口に含みながら話す。

『ええ』

「まあ、頑張れよ」

それだけだった。もっとアドバイスとかしてくれると思っていた。

『ありがとう』

私がそう返すと、ナワーブは皿とフォークをキッチンに持っていくと部屋に戻ってしまった。もっと話せばいいのに。

その後は周りに座っていた人達と話しているうちにパンケーキを食べ終わったので、ナワーブと同じ様に皿とフォーク、ナイフを持ってキッチンに向かう。キッチンにはノートンがいた。

『美味しかったわよ』

「ありがとう。そう言って貰えて嬉しいよ」

ノートンはきっと料理上手なのだろう。昨晩のドーナツもとても美味しかった。
部屋に戻ってゲームの準備でもするか。



部屋に戻る。


部屋に戻ると机の上に手紙が置かれていた。
裏に荘園の主より。と書かれていた。内容が気になるので封を開く。中には1枚の便箋が入っていた。

便箋には絵とその絵を解説するような文が書かれていた。便箋の上の方に「Aさんの能力説明です」と、書かれていた。また自分の名前の部分が書き直された後がある。明らかに不自然だったが、気にせずに読み進めることにした。


要約すると、祈ることで過去にいた場所に戻れる。剣に毒を塗り攻撃することでサバイバーを痺れさせる。最後の１つは、強力な毒を剣に塗ってサバイバーに攻撃するとサバイバーが一発でダウンするらしい。


また人を傷付けなければいけないのか。



廊下からホールへ向かう足音が沢山聞こえる。
ああ。もう始まってしまうのか。


剣を持って、部屋の外に出る。前に進もうとするが足が震えてしまって上手く歩けない。
早く行かないと。頑張って、震える足を前に前に動かす。何とか歩けるようになった。
長い廊下を歩く。そして、階段を下る。


ホールには皆が集まっていた。
話を聞くと、魔法の力らしきものでゲームが映し出されるので、それを見に来たとのこと。

「頑張ってね」

皆が声をかえてくれたので『ええ』とだけ返した。正直、恐怖心しかない。


ホールに立っていると、パリンと硝子が割れる様な音が聞こえた。気付くとホールにいた皆は居なくなっていた。私一人が椅子に座っている。薄気味悪い場所に。

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