キス魔の私。【第五人格】

綺麗な薔薇には棘がある ページ11

パーティーが行われているホールに戻る。
パーティーの主人公が戻ってきても誰も気付かない。いや、皆酔っているから気付かないのか。そういえば、男性陣の方には一回も行っていない。挨拶がてら男性陣の方へ向かうことにした。

『こんばんは』

男性陣に声をかける。
ちーっす。うぃー。こんばんは。など、それぞれの挨拶が返ってくる。改めて自己紹介をしようと思い『お話長くなるかもしれないから、お菓子でも食べて聞いてくれると嬉しい』と男性陣に言った。

「おっけーでーす」

ノリの良い返事が聞こえる。やっぱり酔っているな。自己紹介をしようと思い、口を開こうとした途端、口に何かを詰め込まれた。甘い味とほのかな酸味が口の中いっぱいに広がる。

___食べ物？

「おい、ナワーブ何やってるんだ」

「そうだぞ、こんな綺麗なお嬢さんの口にドーナツを詰め込んで」

ドーナツを口に詰め込まれたらしい。

「わりぃー」

ナワーブがへらへらと笑いながら謝る。完全に酔っている。「このドーナツ、ノートンが作ったんだ。美味いだろ？」ナワーブはそう続ける。いや、確かにドーナツは美味しいけど、そういう問題じゃないし。

ドーナツを飲み込んだ私は、近くにあったワインボトルの栓を開け、ナワーブの近くへ持っていく。

『このワイン、滅茶苦茶美味しいの』

ナワーブの頬を掴み、無理矢理飲ませようとする。男性陣は皆笑っている。ナワーブは私の手を掴んで抵抗する。女の力は男の力には敵うはずもなく、すぐに手をどかされてしまった。

「仕返しだ」

ナワーブは私の頬へ手を伸ばす。そのまま私の頬をつねった。意外と痛い。

『淑女に手を出すなんて、』

「悪いか？おじょーさん？」

『黙りましょうね？豆フードのお坊ちゃん』

「あ？」

私の頬をつねるナワーブの手の力が強くなる。
男性陣は大爆笑。皆酔いすぎね。

「ワインを飲むのもほどほどに」

ジョゼフさんが私とナワーブの間に入り、仲裁をする。ナワーブは「けっ。もう少しで勝てたのに」と悔しそうにしている。

『豆フードのお坊ちゃん。これあげる』

ワインを手渡す。ナワーブは不機嫌そうだか確かに受け取ってくれた。

「今日はナワーブ酔っているんだ。許してやってくれ」

ノートンが耳打ちをして教えてくれた。私はその言葉に返事をするようにコクッと頷いた。因みに、ここの荘園にいるサバイバーとハンターの名前は全て把握済みだ。



「皆！明日の試合についての手紙が来たなの！」

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