年下恋愛対象外２【赤】

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望「ちょ、Aさん」



理由がない涙を流す私に、望くんは焦ったように少し立ち上がり、周りをキョロキョロ見渡しながら私に手を伸ばした。


なんもない。

なんもない。

そう言い聞かせながら涙を拭う私。


アホなん？

……なんもない、わけないやん。


自分では分かってる。


重岡くんだって。

この涙の原因は重岡くんだ。


ただただ怖い。

本気だから。

本気だから、この恋が砕けてしまうんじゃないかって不安で仕方がないんだ。



「……望くん、私どうしたらいいんやろ…」


望「……」


「この2ヶ月、ずっと重岡くんと話せてない。会えてすらない。連絡も取ってない。あれから、ずっと…」


望「………」


「もう重岡くん、私の事嫌いなんかもしれへん。振られるのが怖くて、一歩踏み出すこともできひん…」



どうしたら…


私がそう呟いたと同時に、望くんがバン！と机を叩いた。

ビールの入ったジョッキと、オレンジジュースが入ったグラスが揺れる。

望くんのオレンジジュースの氷はすっかり溶けきって、グラスは汗をかいていた。



望「……Aさんらしくない」


「…え？」



俯いていた望くんが、顔を上げる。



望「Aさんらしくないっすよ！しげさんがAさんのこと嫌い？そんなんある訳ないっす！だってしげさん……！」



そこまで叫んだと思ったら、ハッと目を丸めて我に返ったかのように座り込んだ望くん。

その言葉の続きを聞くことはなかった。



望「………とにかく、Aさん、早くしげさんに想いを伝えな、間に合わんくなりますよ…」


「……」



そんなこと言われたって、私にそんなメンタルは持ち合わせてない。

この恋が壊れてしまったら、私まで壊れてしまいそう。


すごく、怖いの。








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