set 4 月明かりイルミネイト【二階堂大和】 ページ9
就職試験に合格して、あとは大学卒業を待つだけとなった
最近はボーッとしていて、過ぎ行く日々に自分だけが置いていかれてるような気さえ起こる
そんな状態でも足はいつものカフェへと向いていた
ドアの前に立つとコーヒーのいい香りが鼻をくすぐる
私はゆっくりとドアを開いた
そしていつもの席へと移動し、コーヒーを注文した
このカフェは前から人気で、今も客でいっぱいになっている
「ねーねー、見た?二階堂大和が出てるドラマ!」
「見たー!!かっこよかった!」
「だよねー!!私、あんまりアイドルとか興味無いけど、アイドリッシュセブンのCD買っちゃった!」
「まじで!?私も買っちゃうおうかなー」
「お待たせしました」
注文していたコーヒーが来て、私は思い切り砂糖を入れた
コーヒーを甘くしすぎる私を笑ってくれる人はもういない
カップを手に持ち、香りを嗅いで液体を流し込んだ
これはいつまで経っても変わらないなぁ…
心地よい香りに目を細めた
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「大和さんは付き合ったことあるんですか?」
寮のリビングでくつろいでいる中、思いがけない言葉が飛び交った
『い、いきなりなんだ、陸』
そういや、その手の話はしてなかったな
「一織が、知りたいそうなんです」
「ちょっと、七瀬さん!そんなこと言ってないでしょう!?」
「えー?言ってたじゃん」
「いい加減なこといわないでください。二階堂さん、今の話は忘れてください」
二人は俺よりも若いからな
恋愛について興味があるのも仕方ない……
『そんなに教えて欲しいなら、教えるけど?』
俺は二人に対してわざとらしく言った
『まぁ正直に言うと付き合ったことはあるかな』
「あるんですか!?」
陸は身を乗り出し、一織は驚いた顔をした
『そんなに驚くことないだろ…俺22だぞ?』
「コホン、それもそうですね」
一織はいつもの調子へと戻した
「いつ付き合ってたんですか?」
興味津々といった様子の陸が言った
『アイドルになる前、かな』
「最近じゃないですか!」
意外にも一織の食い付きが早かった
『そうか?一年は経ってるけどな』
「大和さんにそんな過去が…」
陸はしみじみとした顔をした
『アイドルを理由に別れたとかそんなとこだよ、俺の恋愛話ってのは』
夜の収録の準備のために俺は部屋に向かっていった
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作者名:ひな x他1人 | 作成日時:2018年5月1日 0時