set 3 ロメオ【七瀬陸】【九条天】 ページ6
とある王国のお姫様の話
「はぁー、つまんない。何か楽しいことでも起きないかしら」
こんな豪華な椅子に座っても仕方ないのに
すると、向こうの方に人影が見えた
来客かしら
近づき、跪いてこう言った
「はじめまして、お嬢さん。西の国から参りました。天といいます」
薄い桃色の髪、透き通る白い肌、華奢な身体
お人形さんみたいに綺麗な人だ
「はじめまして、Aといいます。あの、何か私に用でも？」
「貴女のために会いにきました」
真っ直ぐと私を見据えて、彼は言った
「え？私のため？」
立ち上がり、もっと私に近づきながら、言葉を紡いだ
周りで警護していた人たちが、彼に矛を突き立てる
「急な話ですが、どうか驚かないで。僕のお姫様になってください」
私の顎を少し上に向かせた
なにがなんだかわからない
これは、どういう状況…！？
「え、えと」
「姫さまに近づくな！」
警護の人らが警戒して叫ぶ
彼は私の目をじっと見つめ、フッと僅かに微笑んだ
そして、大きなマントをひらつかせながら、去っていった
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中庭で、私は一人溜息をついた
「はぁー、」
あれは何だったんだろう
身なりからして、西の国の王子様よね
西の国なんて、結構遠いはず
私に会うためだけに、あんなことを
「悩んでるの？お嬢さん」
ヒョコッと出てきたのは、東の国の王子様、陸だった
東の国とは、前から交流があり、何度か話したことはあった
「んー、そんなとこかな」
「浮かない顔は似合わないよ。ほら、耳を貸してよ」
「わっ、」
彼は私の腰を片手に抱いて、顔を私の耳に近づけた
「もしも宜しければですが、全て捨てて俺と一緒に東の国に逃げませんか？」
「ええ！？」
「俺なら、貴女をそんな顔にはさせません」
ニコッと笑う彼は、そんな言葉を言い残して、帰っていった
おかしい、どうも最近おかしい
昨日は、西の国からお姫様になってくださいと言われ、今日は東の国から全て捨てて逃げ用だなんて言われるし
そりゃつまらないとは言ったけど…なんか違う！
頭を抱えて、私は屋敷の中へと入った
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作者名：ひな x他1人 | 作成日時：2018年5月1日 0時
