↓part1 ページ4
慌ただしく騒ぐ病院内
ガラガラと運ばれていくのは、陸
さっきまであんなに元気だったのに…
どうして、どうして陸ばっかり!
神様は意地悪だ
1時間前、何事もなく1日が終わろうとしたころ、陸が咳をし、苦しみ始めた
夕方になったので、ちょうど帰ろうとしたころだった
病院に連絡し、救急車で運ばれた
やっぱり外出許可は早かったのか
それとも…
.
「Aちゃん、陸が話をしたいって」
陸のお母さんが、病室から出てきてそう言った
『え?もう?…ぁ、あの!すいませんでした!私のせいで陸さんが…』
「いいのよ、Aちゃんのせいじゃないわ。あまり気にしないで。それに、もうって言ってたけど、陸が運ばれて約2時間は経ってるわよ?」
『え…!』
に、2時間も経ってたの!?
ああ、色々考えてたから、時間が過ぎるのがはやかったんだ
「病室、入っていいわよ」
『は、はい!ありがとうございます』
恐る恐る、病室のドアを開ける
「A…」
『陸、ごめん!!私のせいで、こんなことに…!』
陸は悲しそうな顔をして、こう言った
「Aのせいだなんて思ってないよ。多分、誰のせいでもないから」
「また泣いた?目が赤くなってる」
私の目尻に手で優しく触れた
その途端、私は崩れ落ちて、ベットに顔を押し付けた
「A!?」
『嫌だ、陸がいなくなるの嫌だよ。ずっと一緒にいてよ。お願い、死なないで。一人ぼっちにしないで』
今まで溜め込んできた思いが一気に涙とともに溢れた
止められなかった
死ぬなんて言葉一番言っちゃいけないのに、口を突いて出た
さっきも十分に泣いたはずなんだけどな
涙が、次々に出て止まらない
そんな私の頭を、彼はゆっくりと撫でた
「大丈夫だよ、A。俺は、絶対死なないから」
.
私は知ってる
嘘をつくとき、陸は必ず顎を触るんだよ
ほら、今もそうやって
.
ああ、素敵な陸が簡単に死んじゃうなら、どうしようか
いっそ、その綺麗な手で私の首を絞めて欲しい
そしたら、2人ともきっと楽になれる
そんな馬鹿げたことを、考えたってしょうがないのにね
Continue…
↓part2→←set 2 さようなら、花泥棒さん【七瀬陸】
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作者名:ひな x他1人 | 作成日時:2018年5月1日 0時