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「ご卒業おめでとうございます!!」
「…あ、ありがとう」
可愛らしい男の子の元気のいい声。
いかにも器用そうなメガネを掛けた女の子が、私の制服のブレザーに造花のコサージュをつけてくれた。
生徒会の後輩だろうか。なんだかすごく可愛らしく思えてくる。
「あ、ありがとー」
隣から聞こえてきた夏未の声。
こうやって一緒に学校にいられるのもこれが最後なんだなって思ったら、なんだか泣きそうになってきた。
「え、A泣くなよ、私もつられるじゃん!」
2人で涙目になりながら教室に向かうと、たまに話す程度だったクラスメートが駆け寄ってきた。
「写真撮ろう!」「連絡先交換しよう!」など、それぞれ色んな事を言ってきて、頭がパンクしそう。
隣にいる夏未は勿論助ける素振りなんてなく、こっちをみてケタケタ笑っていた。
一人一人とやり取りを終えると、待っていてくれていた夏未が誇らしげに笑う。
「やっぱあんた、高嶺の花だねえ。」
「…は?」
高嶺の花?と疑問に思っていると、夏未が笑いながら説明してくれた。
それは、私が今まで一度も感じたことのなかった事実。
「あんたはね、男女共に人気だけど皆話しかけらんないの。中身はこんなにポンコツなのにね。」
「最後余計だよ。」
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作者名:飴宮 | 作成日時:2022年9月11日 17時