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A「ふふっ、生地が美味しい」
まだフーフーしてる有岡は、熱いのが苦手なのは変わってない。
私の顔を見て我慢できなくなって、恐る恐る口に運んでいる。
そういうところは、可愛い。
有岡「うん、美味い!」
口の端にトマトソースをつけてるのが、わざとだとしても、可愛い。
半分ずつペロリと食べ、大満足で店から出た。
A「美味しかったから、また来ようね」
有岡「ってかさ、お金!」
A「いいじゃん、お誕生日なんだし」
口をとがらせたまま運転席に入り、すぐにエンジンをかけ始めた。
私が助手席から入ると、こっちを見て何か言いたそう。
A「ん?」
有岡「いやさ、これからもずっと一緒にいたいから、片方が出すのやめたい」
A「でも、この前、春休み最終日はご馳走になっちゃったじゃん」
有岡「んー。
ちゃんと考えるから」
A「うん」
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金の切れ目が縁の切れ目になるのは怖い。
それは私も思う。
こんな遠くに来てしまった手前、その後どうしたらいいか悩むと思うし。
まだ、返事もしてないのにそんな事考えて。
きっと有岡に突っ込まれるだろう。
車が出発して、スマホで餃子の作り方を調べた。
A「スーパー寄ってくよね」
有岡「そうだけど、運転の練習しなくていいの?」
A「えっ」
有岡「面倒くさいとか思ってんだろ。
もう雪もないんだし、やった方がいいって」
A「分かったよ」
車はマンションに戻る事になった。
自分の運転中は、あまり世間話をする余裕はないから。
有岡の助手席では、自由気ままに話が出来るのがいい。
A「ねえ、思い出した!
こっちでは、唐揚げって言わないじゃん」
有岡「あー、なんだっけ。
ザンギとか言うんだよな。
じゃあ、俺らも唐揚げって言うの禁止な」
A「いや、別にどっちでもいいじゃん」
有岡「ダメ!
あいつの好きな食いもんとか、俺は食わねえからな」
A「もうさー、何とも思ってないし。
分かった。ザンギね。
あっ、じゃあザンギにする?夕飯」
有岡「ダメだろ。
俺の脳と口が餃子だって」
やっぱダメか。
レシピを保存して、それをもとにスーパーに向かった。
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作者名:やまぱん | 作成日時:2019年6月20日 23時