49 Daiki ページ49
Daiki
この公園まで一緒に帰ってくるやつはいないのは知っていた。
ブランコに乗って、Aの影を待った。
・
・
有岡「A!」
薄暗い公園から、突然Aを呼んだので、ビクッとしてこっちを見ている。
有岡「あ、俺。
ちょっと、いい?」
もちろん「俺」だけで、誰か分かったようで、ゆっくりと公園の中に入ってきて、俺が荷物を置いてあるベンチに自分の荷物を置き、隣りのブランコに腰掛けた。
A「おばさんいないの?
鍵、ない?」
そんな事で呼んだと思ってんの?
どうせ俺との関係はそんな感じかと思うと、ため息が出る。
有岡「いや…
あのさ、昼休みの事なんだけど」
俺の顔をのぞきこんでたのに、途端に前を向いてしまった。
A「・・・うん」
有岡「高木先輩、だっけ?」
A「初めましてだから、私だってよく知らないけど」
有岡「そっか、そうだよな。
なんか、あれ・・・どうしようと思ってんの?」
A「うん、有岡に聞こうと思ってたんだけど」
え?何?
俺の好きなやつが誰とか?
どうやって断るとか?
私の事、好き?とか?
・
有岡「うん・・・何?」
ドキドキしてた。
俺が言わなくても、Aから告白されるんじゃねえのかって。
俺の事、じーっと上目づかいで見ている。
丸い目が可愛くて、「俺も好きだよ」って先走りそうになってた。
・
それなのに・・・
・
A「好きじゃなくても、一緒にデートとか出来るんだよね?
そんなに好きじゃなくても、もしかして本気で好きになれるかなって思うんだよね?」
有岡「えっ・・・」
A「彩ちゃんとは、そうやって始まったんでしょ?」
有岡「いやっ・・・えっ・・・」
この感じ・・・とりあえず付き合ってみるって事?
予想外の質問に言葉をなくした。
A「バスケ部の女子に聞いてみたの。
聞いてみるっていうか、からかわれて教えてくれたんだけど」
有岡「・・・うん」
A「すごく優しくて、いい人みたいなのね。
スタイルもいいし、人気もあるらしくて。
なんでこんな一年がいいのか分からないけど、でも私・・・」
有岡「Aだって可愛いよ」
もうすでに手遅れだけど、俺の気持ちを伝えてみた。
・
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作者名:やまぱん | 作成日時:2018年8月29日 23時