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35 Daiki 入学式 ページ35

Daiki






「だい」は俺の事?


最近は、大ちゃんって呼ばれなくなったし。


「いや」は、嫌だって事?






Aには嫌な思い、いっぱいさせてきたから。

そんな夢、申し訳ないって思って。

お詫びのつもりで、肩に乗った頭の前髪を、そっとよけ、可愛いおでこに俺の唇を当てた。





なんか甘い香りがするんだよ、いつも。


ホワイトデーにあげたマーブルチョコ、食い過ぎてんじゃねえの?


可愛いな・・・A



ちょっと妹みたいなとこも、愛おしい。























春休みに入り、中学の部活体験に参加してた。


午前中練習で、帰ってきてメシ食って、リビングのソファーで横になってるといつのまにか寝ちゃってて。

隣りから聞こえるピアノの音で目を覚ます。






きっと、この曲が発表会の曲なんだな。

ピアノの事は全然分かんねえけど、ちょっと悲しいような暗い曲。

大人っぽいんだよな、きっと。




あと一か月・・・いつも決まった時間に鳴るピアノの音が、Aの存在を確認出来た。

それが妙に安心出来て、心地良かった。

隣りに住んでても、なかなか存在を確認できないものだから。

ピアノの音は、本当に大切だった。
























入学式の朝、制服である学ランに腕を通す。

成長を見込んで大きめに作ったから、だぼだぼでカッコ悪い。






母「大貴、準備出来たら、門のとこで写真撮る約束してるから、Aちゃんとこ行ってきて」





なんでいつも、仕度がギリギリのバタバタなんだよ。

仕方なく、靴を履いて外に出ると、Aんちの玄関のドアがゆっくり開いた。





A「あ、有岡、おはよ」





有岡「あぁ、おはよ」






女子は紺の上着とスカート。

白の丸襟のブラウスに小さな赤いリボンがついている。

多分、中にベストを着てるはず。





髪の毛をビシッと一つに縛って、小学校の時とは雰囲気が違う。





A「ふふっ、何か変な気分だよね」





有岡「うん」





なんか、可愛いね制服って言えなかった。

制服が可愛いんじゃねえしな。






A母「大ちゃん、おはよ。

  入学おめでとう!」





有岡「あ、ありがとうございます…」






A母「じゃあ、写真撮っちゃおっか」





色んなパターンで撮ってたら、やっとうちのお母ちゃんも来た。

お母ちゃんに預けてた携帯を出して、Aと二人で撮ってもらった。



ここから、二人とも成長してくんだよ。

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作者名:やまぱん | 作成日時:2018年8月29日 23時

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