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結局、総合病院の形成外科で唇の脇を縫ってもらった。
形成は、細かく縫ってくれるから、何針って感じじゃないらしい。
黒い糸が、とっても不気味で。
ちょっと憂鬱になった。
待ってる間に、どうやって怪我をしたのかお母さんに聞かれて。
校内で怪我したって言うと、面倒な事になりそうだから、歩道と車道の段差を踏み外したって事にした。
それなのに、通学中のケガも学校の保険の対象だとか言われて、嘘がバレませんようにって強く思った。
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タクシーで帰宅した。
母「そういえば、伊野尾くん何しに来たんだっけ」
あの言葉は、耳に入らなかったのか・・・
A「心配で見に来てくれたんだよ」
母「一緒にいたの?」
A「えっ・・・と。
遠くで、私がずっこけるの見えたんだと思う。
血が出て、ビックリして走って帰ってきたから」
母「葵ちゃんも、息、切らしてたわね」
A「うん、そう・・・」
母「ねえ、お夕飯、食べられる?」
A「食欲ない・・・
それに、この口じゃ、食べられないよ。
しみそうで怖いし」
母「先生が言ってたみたいに、ストローで何か飲むくらいかね」
A「うん・・・
痛み止め飲んで、もう寝たい」
今日は、お風呂も入れないし。
早目に休む事にした。
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自分の部屋に入り、カーテンを閉めようと窓の側に来た。
あいつ・・・・来なかった。
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そんな事を思って、そっと窓を開け、いつもみたいに右側を見た。
真っ暗で、誰もいない。
部屋の明かりもついてないし、まだリビングにいるんだね。
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どんな気持ちでいるんだろ。
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私の事、どう思ってるんだろ。
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窓を閉め、ベッドに入り、お祭りの日にもらったウサギのぬいぐるみを、目の前に持ち上げた。
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A「好き・・・
大ちゃんが、好き・・・・」
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ずっと思ってた。
あの、夏休みに入って映画を観た日・・
あの日にちゃんと「ずっと好きだった」って伝えられたら、こんな風にイジメられずに済んだのかもしれないって。
私が嘘をついたのがいけないんだって。
考え過ぎて眠れないかもって思ったのに、痛み止めのせいか、知らぬ間に寝ていた。
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A「気持ち悪いから、学校、休みたい」
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作者名:やまぱん | 作成日時:2018年8月29日 23時