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ピンク色のリボンのかかった四角い形の箱。


開けてみると、箱じゃなくて、透明のケースに入った白い薔薇のコサージュだった。






A「えー、可愛い!

  こういうの欲しかったんだよね。

  ピアノの発表会でつけたかったの」






有岡「よかった。

  Aのイメージ、これ。

  髪の毛にも付けられるんだって」







A「そっか、髪の毛かー。

  発表会は、髪の毛につけたらいいか。

  開けてみていい?」





有岡「髪の毛につけてやるよ」






A「うん!」






私より、ちょっとだけ背が高い有岡。

背伸びをしてるので、少しかがんであげた。






有岡「はい。

  うん、やっぱり可愛い」





窓ガラスに反射する自分の姿を見た。





A「わーすごい!」





有岡「あとね、これも」






もう一つラッピングされたものを出した。

中は、リップが入ってた。





A「リップ?

  あ、色がつくの?」






有岡「うん、色んな色があったんだけど、ピンクっぽいのにした。

  Aの唇は可愛いから、そういう色がいいかなって」







A「別に、可愛くないけど・・

  つけてみよ」






学習机の上の鏡を手前に出し、ピンクのケースに入ったそのリップで唇をなぞった。

ちょっと甘い香りがして、ふわっと口元が明るくなった。






あっ・・・





鏡で口元をこんな風に見る事があまりないから。

急に視界に入ってきた傷が恥かしくなって。

口をギューッてつぐんで、リップの蓋をした。






有岡「ん?どうした?」






A「ううん・・・

  ありがとね、大切にする」






有岡「その色、気に入らなかった?

  ねえ、どうしたの、急に悲しそうな顔して」






A「気に入ったよ。

  私、口元に自信がないから。

  あんまり見られたくないなって・・・」







有岡「え・・あっ」





有岡はすぐ気がついた。


よく見ると、やっぱり縫った跡が分かって。

気にすれば気にするほど、目立つ。





有岡「ごめん・・・全然分からないけど、やっぱりAは気になるんだね」





A「まあ、いちおう女なんで・・・」





有岡に伝えなければよかった。

どんどん悲しい顔になり、心配そうに一歩近づいた。






有岡「Aは、可愛い大切な女の子だよ」









 

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作者名:やまぱん | 作成日時:2018年8月29日 23時

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