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パチパチパチ・・・




葵「すごいじゃん!この曲、知ってる」





伊野尾「途中のとこ、スピード落ちないで弾けたの、よかった」





うっ・・・先生みたいな事言う・・・





A「じゃあ、次、伊野尾くん弾いて!」





伊野尾「椅子の高さ、変えていい?」





A「うん」





きっと、本気のやつ聴ける。










高さを調整したあと、ポロンポロンと試し弾きが始まった。

それだけで上手いのが分かって、ワクワクする。







伊野尾「では、クリスマスっぽい曲を少し・・・」





そう言って、譜面もないのに、


ジングルベル

きよしこの夜

洋楽だという、ラストクリスマスを弾いてくれた。





パチパチパチ・・・





八乙女「すげーな」





A「えー、譜面なくても弾けるの、尊敬する」





葵「慧ちゃん、本気のやつやってよ!」





伊野尾「え?・・・あぁ」






一度大きく深呼吸をして、指が動き始めた。



やばい・・・すごく上手い。



細くて長い指が、軽やかに動いて、途中で聞き覚えのあるメロディーを奏でた。









あっ・・・分かった。









その後も、気持ちいいくらい素敵な演奏で、

三人とも微動だにせず、伊野尾くんの演奏を聴きいった。










パチパチパチ・・・





A「すごーい、これ『花のワルツ』?」






伊野尾「そう、くるみ割り人形の花のワルツ。

  欧米ではクリスマスの時期になると、くるみ割り人形が劇場で上演されるらしいよ。

  だから、弾いてみた」





八乙女「曲名分かるなんて、すげーじゃん」






A「有名な曲だし、私のオルゴールと同じなの」






葵「へー、そうなんだ!

  私、音楽は全然だから、慧ちゃんの凄さとかもわかんないの」







伊野尾「ひでえの、昔はねこふんじゃった弾いてっていつも言ってて。

  それですごーいとか言われても、全然嬉しくねえっての」







なんか、羨ましかった。



幼馴染じゃないとかいいつつ、昔の話を共有しちゃうのとか、憧れる。











五時になったので、みんな帰ると言い出した。





葵「最後、慧ちゃんのコンサートで一気にクリスマス会っぽくなったよね」





A「うん!すごく良かった。

  さすがだね、伊野尾くんって」





八乙女「だな」





伊野尾「お邪魔しました。

  おばさんによろしくね!」






そう言って、みんな帰ってしまった。

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作者名:やまぱん | 作成日時:2018年8月29日 23時

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