一児の母が薄桜鬼の世界へ！？母は強し！《肆》《薄桜鬼》

第七十章 ページ22

「えぇ。そやしおせてあげる！この道を行って、三軒先に細い道があるからそこに入ってな。ちびっと歩いてるとここみたいに道が開けるから、開いた先の目の前にお店があるよ」


「あ、ありがとうございます」


「ほんまにそこの野菜は美味しいから騙されたと思って行ってみて！」


「わかりました。行ってみますね。わざわざ教えてくれてありがとうございました」


「ええのよ、気にせいで！若いのにえらいだねぇ。それじゃ気をつけてね」


「はい」


なにやら気さくで優しいおばちゃんはおすすめのお店を教えてくれた

道はそんなに難しくなかったし大丈夫だろうと思い私はそのおすすめの店に行く事にした





無事お店に着いて品物を見てみれば、確かに鮮度が良さそうなものばかりだし、値段も安かった

おばちゃんに感謝をしながら野菜を選んで買って行く
買った物を籠の中に入れれば、ズシリと重く思わずよろけそうになるが踏ん張って

よいしょっと小さく口にしながら背負って、店主にお礼を言えば笑顔でまた来るよう言われ、頷いて見せれば帰るために来た道を歩き

日が暮れて来たなぁ
空はもうすっかり茜色に染まっている

あ、魚忘れてた！

危ない危ない、思い出して良かったー
私は運良く魚屋さんを見つけて頼まれていたことを思い出す

魚を人数分買って風呂敷を片手に持ち、今度こそ帰るために屯所に向かい

籠が重い...肩が痛い...
調子に乗って買い過ぎたかな？
いや、人数が人数だししょうがないよね
あー、重いよー、疲れたー
子供抱っこするより重い、って当たり前か

あれ？屯所ってこんなに遠かったっけ？

辺りをキョロキョロ見渡せば、知らない建物ばかり

あー、まさか迷った？

夕飯遅れる！まずい！
早く帰んないと！

人がいないか周りを見るが、暗くなって来ているからか殆ど人がいない
しかも、治安悪いから余計に人がいない

まずい、かなりまずい

この時代に来てからというもの、外に出歩いたのは3回ほど
道なんて分かるはずもない

来た道を戻ってみるが、辺りはどんどん暗くなっていくため視界が悪くなり余計に道がわからない

どうしよう...ほんとにわかんない

暗いし、なんか不気味だし、ちょっと怖い

帰れなかったら？
みんなに会えなくなったら？
心配してくれてるのかな？
それともいなくなってせいせいされてるかな？

あれ？一人ってこんなに心細かったっけ？

不安に押し潰されそうで、少し泣きそうになる

こんな歳にもなって情けない

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