。繰り返して34回目 。 ページ36
「_____っ!」
思わずその場にしゃがみこみ、両手で口を覆った。
心臓の脈が早くなって、頭が真っ白になる。
そして窓は開いていて、耳をすませば二人の会話が聞こえた。
「お父様が可哀想だからってAの刑を軽くしたけど…
今日からまた一緒に暮らすなんて耐えられなくって…
良かったらなんですけど五条先輩の家に泊めてくれませんか?」
「あぁ、別に構わないよ? ほら君、僕の婚約者でしょ。」
「さっき決まったばっかりじゃないですか!」
「……」
口を覆っていた手が、力なく落ちれば
手錠の音が、静かな教室に響いた。
視線の先には手錠。
「……」
あぁ、今の私は…五条さんを抱きしめることも出来ないんだ
……ううん、抱きしめる権利もない。
新しい婚約者……望未さんなんだ
早かったなぁ、やっぱり望未さんのこと好きだったのかな、?
あの家で…私と過ごしたように過ごすのかな?
「ッ……」
自分から婚約破棄したのに、
想像しただけで嫌だなんて馬鹿みたい。
_____
【……俺も嫌いだよ。】
_____
ふと思い出したのはそう言った五条さん。
人間って不思議…好きって言われたら疑うくせに、
嫌いって言われたら信じちゃうんだもん…
、
「……ぁれ、……」
手になにかが落ちる感覚がして、手のひらを見れば___
「……泣いてるの…私…」
ポロポロと止まらない涙は視界をぼかし、服を濡らした。
最後に泣いたのはいつだっただろう
ループを繰り返すうちに涙なんて出なくなってたのに…
「……っ、ぁ、」
涙が止まらない。それと同時に喪失感が襲いかかってきた。
もう、私の心は限界だったのかもしれない
重なるループの中で、気付かないふりをしていたんだ。
「……」
___あぁ
___私__
_____何のために頑張ってるんだろう
【私が、みんなを守るから】
その言葉が耳に染み込んじゃって……
今までずっと耐えてこれた。頑張れた。
ねえ、五条さん……
どれだけループを繰り返しても、どんなに冷たくされても
気持ちが変わらないから頑張ってこれたんだよ?
思わせぶりばっかして…
いや、ううん…
思わせぶりなんかじゃなくって私の思い込みだったのもしれない
分かってたじゃない、好きだったのは最初から私だけ。
きっと、初めから全部嘘だったの。
距離なんか近づいてもない。舞い上がってたのは私だけ
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アキ(プロフ) - 黒姫ユキナさんの作品どれも泣いてしまう作品ばかりでほんとに読んでて切ない、😭💕 (2022年10月28日 20時) (レス) @page21 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - ドキドキとハラハラが止まりません…‼︎更新いつも楽しみにしています! (2022年10月27日 20時) (レス) @page44 id: ab187a6c5b (このIDを非表示/違反報告)
ラグすぎるって - 応援してます! (2022年10月27日 19時) (レス) id: 62ead42611 (このIDを非表示/違反報告)
ラグすぎるって - 夢主ちゃんが幸せになりますように! とても素敵作品で続きがとても気になってハラハラドキドキしてます! 更新頑張ってください!! (2022年10月27日 19時) (レス) @page44 id: 62ead42611 (このIDを非表示/違反報告)
︎︎ラムネ - 毎日読ませて頂いてます 🙏🏻 とても素敵な作品ありがとうございます 。 (2022年10月27日 6時) (レス) @page37 id: a6303a4f88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒姫ユキナ | 作成日時:2022年10月21日 20時