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七輪 ページ10

『ッ…いたっ』

「ん……」

彼は私の横で噛み付いたあとの血を舐めとっていた。
朝日が顔を照らし目眩しになっていく。
痛みが徐々に擽ったさに変わっていることに気付かないふりをして、離れた彼が吸い付いていた部分に手を添える。

『なんで…私にこんなこと…』

ボソリっと呟いた言葉に彼が反応を示した。

「僕の前でそのようなことを二度と口にするなと先程から云っているのが分からぬのか?」

『いっ…いえ!そんなつもりじゃっ!』

目の前に向けらているのは黒い布が尖り、先端から異様な空気が放たれているもの。

これに刺されたら激痛だけでは済まない。
そう伝えられているかのようだった。

『ごめんなさい…』

「分かれば…いい」

こんな時だけ彼は少し悲しそうな顔をする。なんで…?

『っ…』

「怖がるな」
彼の手が優しく頭を撫でる。意味わかんない…その間彼から色々な話を聞かされた。
その話を聞くに、彼の仕事は夜から始まるらしい。
なんの仕事かなんて、聞く勇気はなかった。

夜…逃げるのには都合の悪い時間帯だ。
それにここがどこか把握すらしていない。
まずい…逃げるのには時間がかかるっていうのに…
生憎ピッキングなんてことは出来ない訳だから、ドアに鍵がかかっていればGAME OVERとなる。
じゃあどうすれば…
そう考えていた時不意に彼が私の額に口付けをし、こう云った。


「逃げようだなんて思うな…愛しのA…」


薄く笑みを浮かべた彼に、心を見透かされたようで、鳥肌がたった。

そしてこれが


【逃げ出す】=【死に繋がる】ということへの宣告なのかもしれないということにも。

八輪※遅くなりすみません!→←作者より【できれば読んで欲しい!】



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- 続き待ってます!! 面白かったです! (2023年4月14日 23時) (レス) @page22 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 何故、芥川君がオラの名前知ってんだ? (2020年5月25日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - 本当に芥川さんが格好良すぎて格好良すぎて無事昇天しました…!この様な神作品に邂逅する事の出来た私は幸せです!!!!!! (2020年2月23日 19時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
林檎ばたけ(プロフ) - 納豆御飯さん» わわっ!嬉しいです……!!期待に応えられるよう頑張りますので!!泣 (2020年1月1日 20時) (レス) id: 29e406539b (このIDを非表示/違反報告)
納豆御飯(プロフ) - 貴女の書くヤンデレが大好きです! 更新、無理せず頑張ってください! 応援しています! (2019年12月28日 20時) (レス) id: d545145139 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:林檎ばたけ | 作成日時:2019年3月16日 15時

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