罪で結ぶ絆 2

生まれたての感情 ki ページ40

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「私には何となくわかるの。ひろは、今
まで心に武装して生きてきたんじゃない
？それでも沢山傷つけられて……」

「玲さん……」

「私、ひろがどんな仕事しててもいいよ
私がひろの一番だったら本当にいいの。
変わった女だと思っている？
きっと私は変わってるのかもしれないね」



ふっと笑い、そう言いながら俺をそっと
抱き寄せてくれた。





もし、もしも、本当に心の襞が目に見え
るなら、玲さんの襞は深く沢山あって美
しいのだと思う。

俺なんかよりもずっとずっと。

こんな俺にどうしてここまでしてくれる
のか？好きだと言ってくれるのか？

玲さんは人を好きになるのに理由はいら
ないと言った。




ふと、俺の過去を知っても尚、俺を受け
入れてくれた玉の顔が浮かんだ。こんな
俺を守りたいって言ってくれた。

他人に根幹を見せずに生きてきた俺は、
いつも孤独だと思っていたけれど、俺は
はひとりじゃない……のか？





「身体……熱い……」

「……」




「だから私がひろを守りたい。私は……
ひろの唯一無二の存在になりたい……」




少し震えた優しい声が耳に沈む。



心に温かいものがポッと宿り、熱いもの
が込み上げてきて

生まれたてのこの感情を、どうしていい
かわからなくて、思わず玲さんを抱き締
め返していた。

切なくて……切なくて……

玲さんを、心から愛しいと思った。
そして、心から彼女が欲しいと思った。



俺はなんて浅ましいんだ。



けれど、もう自分の感情を止めることが
できなかったし


止め方もわからなかった。




「玲さん……」

「うん？」




「俺……玲さんのこと、好きになっても良
いのかな……」



声が震える。


胸の奥で、一本の細い弦が幽かに震える
ように響き、それは身体の中で、やがて
しっかりとした鼓動に変わった。


ドクン、ドクンと、大きく響く鼓動。
玲さんは驚いた表情をして俺を見た。




「え……？」

「玲さん……俺、あなたが……好きだ」



「じゃあ……彼女にしてくれるの？」

「俺でいいなら……」




「嬉しい……」



「俺、理由があって今は店をやめらんな
いんだよ。だけど……約束する、今すぐ
じゃないけど、いずれはあの店辞めるか
ら……そうしたら、もっとまともな仕事
するよ」


一瞬、玲さんの口角がくっと上がった。




「うん……ひろが大好き」



ふわりと甘やかな香りに包まれ、その安
心する鼓動を抱きしめながら


俺は深い眠りに落ちていった。






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