罪で結ぶ絆 2

意図 ページ21

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「何で俺だけを見てくんないの？……」


その間も、ひろは相手の男から目を逸ら
そうとはしなかった。手が男のシャツの
下に入り込み、その身体を弄りだす。



「身体が疼いてたまんないんだって」

「……っあ」

「大川さん……」




ドクン、ドクン、ドクン

私の心臓は、飛び出すほどに鼓動を打ち
始めた。




「俺の味……思い出してよ……ね？」



ちゅっ……と、リップ音を立てて唇に吸
い付きながら、ひろの舌がその男の咥内
に入り込んだのが見えた。


咥内で絡み合う舌と、恍惚の表情の男。
銀の煌めきを残して唇が離れた。

ひろには、人を惹き付ける妖しい魔力の
ようなものがあるのかもしれない。




どうしてこのような行動に出たのか。




おそらく裕太を助けたい一心だったから
だろう。けれどここまでするなんて……
正直驚いていた。

嫌悪しかないのに、見たくなんてないの
に、どうしても二人から目が離せなかっ
た。






「玉森より……俺の方がいいでしょ？」

「はぁ……あぁ……」




「早くいこ？俺が相手するから。その手
もさ、手当しないと……俺、もう待ちき
れないよ……」



情欲の色を纏った、艶めかしくて熱い眸
だった。






ただ呆然と二人を見ていた裕太だけれど
ハッと我に返ったようだ。


「……ミツっ！何言ってんだよ！」





そう叫びながら、ひろの腕を強く掴んだ
裕太の手を払いのけると、思いっきりド
ンッ！と裕太を突き飛ばした。

不意のことに、裕太はよろけて床に倒れ
ナイフは冷たい音を立てて床に落ちた。



あっ……！


私は急いでそれを拾い、咄嗟に後ろ手に
隠していた。






「い……ってっ！何すんだよっ！」








大声が聞こえたんだろう、振り向けば、
訝しげな表情の黒川さんがこちらに歩い
てくるのが見えた。



「どうかしましたか？」

「……」




「一体どうしたんだ……？」


下半身が下着姿の大川さんに目をやり、
眉間に皺を寄せると、ひろと裕太を交互
に見た。




「何でもありません、只のお客様の取り
合いです。もう解決しましたから……。
ね、大川さん」

「あ？……あ、ああ……」

「ほら、早く行こうよ、早く！」



ひろが男に腕を絡めた。




「ミツっ……！」







「来るな」




起き上がり、ひろに近づこうとした裕太
を射貫くように睨みつけると、男をドア
の向こうに押し入れ




地下へと続くドアは――……

目の前でバタンと閉まった。









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