初めて【ユキハミ】 ページ9
ユキハミ視点
今日もいつも通り、ふかふかの雪の上で大好きな凍ったモモンの実を味わう。
シャリシャリした食感と、仄かな甘さが大好きで木から落ちたモモンの実を見つけては、雪の中に隠して凍らせて食べるのがボクの決まりだった。
半分食べ終わると、近くから足音が聞こえ驚いて実を置き去りにして木の裏へ隠れる。やってきたのは人間の女の子でポケモンを連れている様子もなく、優しい雰囲気だったので警戒を解いて木の裏から半身を出してしまう。
『あれ?ポケモン…』
見つかってしまい、すぐに逃げようとするがボクは他のポケモンとは違い足が遅いため、そんなに離れることができない。
『ごめんね。驚かせるつもりじゃなかったんだ…はい、食べてる途中でしょう?私は行くから、安心して食べて』
ボクを優しく掌で包むと、モモンの実の前に戻し頭を指で軽く撫でてから森の方へと歩いていく。
人間にも優しい子が居るんだなぁと思い、残っていたモモンの実を食べるのにまた口を動かす。
でも、森に行ったことが心配だった。
どうしても女の子の事が気になってしまい、クレバースに頼んで森へ運んでもらいボクの背にモモンの実を置いてもらう。
クレバースは近くの池で待っててくれると約束してくれたので、まだ残っている女の子の物だと思う足跡を辿り、森の奥へ進んでいく。すると、ある洞窟の中へと足跡は続いていき焚き火が見えてくる。
焚き火の傍には女の子が居て、モンスターボールを見ながら何か考えていた。でも、女の子の手先は凍ってきていて焚き火があっても寒そうに震えていた。
人間が言うには、この森は特殊な電磁波が出ていてモンスターボールも使えず、しかも奥に入るほど寒さが増すらしく人間には厳しい環境のようだ。
ボクたちは捕まらないし、静かに冷たい場所で暮らせるからいいんだけど…あの子が寒そうに震えているのを見ているのは嫌。
暫くして、女の子が寝てから外で集めてきた薪を地道に運び嫌いな火が消えないようにした後、糸で布を作り女の子へ掛ける。
初めてやったことばかり、でも女の子の為ならと精一杯動いた。最後にモモンの実を横に置いて、洞窟の外にある木へ移動する。
翌日、目が覚めるとボクが寝ていた枝にボクの作った布とオレンの実が置いてあった。
あの子はまた来るかな?ふしぎな女の子。ボクが初めて着いて行きたいと思った子…
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ジョジョらー - 素敵な作品をありがとうございます!私の求めてた作品だ…!面白かったです!!! (2022年10月24日 21時) (レス) @page19 id: 98b7a622f5 (このIDを非表示/違反報告)
月巳椿(プロフ) - IROHA(いろは)さん» 素敵なご感想どうもありがとうございます!ポケモンにもバトル以外の青春があってもいいんじゃないか?と、始めた作品ですので気に入って頂けて良かったです。IROHAさんの作品も、ポケモン一体一体に個性がありとても素敵でした。コメントありがとうございます (2022年5月24日 1時) (レス) id: 28d5cf5fad (このIDを非表示/違反報告)
月巳椿(プロフ) - 遥さん» 反応遅れて閉まって申し訳ありません!気に入って頂けて良かったです。私の都合で更新が止まってしまっていますが、落ち着いたら更新を再開する予定なので楽しみしていただけると幸いです。コメントありがとうございます (2022年5月24日 1時) (レス) id: 28d5cf5fad (このIDを非表示/違反報告)
IROHA(いろは)(プロフ) - 月巳椿様のおかげで、ずーっと求めていたポケモンとの恋愛物語にようやく出会えました。優しく繊細な表現、淡く感じる甘い春の匂いに、もう虜です。ポケモンだって男なのだと。★私も占ツクでポケモン(原型)作品書いてます (2022年5月23日 23時) (レス) id: a7aa44cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
遥 - ポケモン×人間の夢小説はあまりないのですごくありがたいです。ポケモン達の溺愛ぶりがすごく良いです。更新これからも楽しみにしています。 (2022年4月19日 23時) (レス) id: a3057ef3d1 (このIDを非表示/違反報告)
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