生存 ページ37
ふと意識が浮上する。
目の前に広がる見慣れた天井。ぼんやりと霞む視界。いったいどれほど寝ていたのか、頭はぼーっとするし体を動かしにくい。身体を起こそうとしてそのままベッドに逆戻りするくらいなのだ、一週間なんてものじゃないだろう。
私は見慣れた部屋…蝶屋敷の一室で目を覚ました。私が眠りに落ちる前の記憶をなんとか思い出し、猗窩座戦を乗り切ったことを思い出す。あの時一番重傷だったのは私だ、杏寿郎さんは無事なはず。…もしかして物凄く心配をかけているのでは?
起き上がれないので這いずってベッドから出ようとする。もうすぐ床に手が付く…その瞬間、出入り口の扉から物凄い怒気を感じた。身が竦みなりそうなほどの怒気と…それに負けない位強い心配の気配。はっと顔を上げると珍しく怒りを露わにし、瞳を涙で覆い今にも泣きそうなしのぶの姿。あ…と小さく声を漏らすと、それ以上の声でしのぶが怒鳴った。
「…ッいったい!!どれほど心配をかければ気が済むんですか!!?」
「…」
「帰ってきたと思ったら…貴女は血だらけで、脇腹が抉れ、血が止まらず、まるで死んでしまっているかのように青白い顔で…ッ!」
「…しのぶ」
「貴女がッ…!いつも、私達に笑顔を与えてくれる貴女が…いなくなってしまったら…!私は…ッ!」
「しのぶ」
怒鳴った勢いでボロボロと涙を溢れさせたしのぶに、両手を広げる。いつもと同じ笑顔を浮かべて、おいで?と声をかける。私の姿にしのぶは目を見開き、くしゃりと顔を顰める。とんっと軽い足音がしたかと思えば、いつのまにかしのぶは腕の中にいた。優しく抱き締め、頭を撫でる。
私の背に回されている腕がかすかに震えていて、心が痛くなった。
「ごめんね、悲しませちゃった」
「…ッ謝罪なんて聞きたくない!嫌だ…また、大事な人が死んじゃうなんて…ッ」
しのぶから敬語が抜けてる。こんな状況なのに、それが嬉しいと思ってしまう私は薄情だろうか。しのぶのことを撫でながら、相槌を打つ。
「うん、大丈夫だよ。私は生きてるから」
「ッ…いなくならないで」
しのぶの身体から力が抜け、私に凭れ掛かる。どうやら寝てしまったみたいだ。足に座らせるように横に抱くと、目の下に隈が見えた。もしや私のせいで眠れなかったのでは…?ゆっくり寝かせてあげよう。
しのぶの寝顔に頬を緩め、ドアの方を見ると
「…!?」
カナヲちゃん、カナエさん、アオイちゃん、なほちゃん、きよちゃん、すみちゃんがいた
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なぎ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます…‼ (2022年8月14日 15時) (レス) @page42 id: c7ded9271f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新待ってます…応援しています!頑張ってください!! (2022年5月25日 23時) (レス) @page42 id: ef64ea2517 (このIDを非表示/違反報告)
しらこのり - 更新ずっと待ってます 再開して欲しい… (2022年1月15日 11時) (レス) id: 573692b408 (このIDを非表示/違反報告)
人類のようなナニカ - コメント失礼します。この作品本当に大好きで、読み進めるのが楽しくて楽しくて仕方がないです!応援しています!!!!更新頑張って下さい! (2022年1月7日 19時) (レス) @page42 id: 60efa73c00 (このIDを非表示/違反報告)
栞乃(プロフ) - 投稿楽しみにしてます! (2021年12月31日 18時) (レス) id: 8c5f3cdf03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏 | 作成日時:2019年8月20日 14時