幸セナ夢 弐 ページ30
「どうやらAの様子がおかしくてな!疲れではないかと思うのだが!!」
「あら、どうしたんですかAさん。確かに最近働き詰めでしたけど…」
「大丈夫だよ、記憶がちょっと混濁してて…」
…働き詰め?私、ちょっと前に三日間お休み貰って師匠の所に帰ったような…。そんな言うほど…
はっとして、自分の身体を見る。那田蜘蛛山で負った傷が…ない。おかしい、いくら呼吸のおかげで治りが速いとはいえこんないきなり傷が無くなるわけない。杏寿郎さんとの合同任務も…確かに覚えてる。だって、あれは重要な事だから…重要?なんで?
…杏寿郎さんが、殺されてしまう。
「…そうだ、思い出した」
「A?」
私の肩を抱いている杏寿郎さんを見上げる。不思議そうな表情を浮かべて私を見る杏寿郎さんの手を握り、私は笑みを浮かべた。
「…絶対に、私が守ります。杏寿郎さん」
「…む、う?」
私は杏寿郎さんの手を離し、徐に刀を抜く。皆の動揺した気配がわかり、ここまでリアルなのかとつい小さく笑ってしまった。
「うん、そっか。私にとって一番幸せな夢は…何の変哲もない日常だ」
毎日が死と隣り合わせで、でも皆と仲良く暮らせるこんな日常が…私にとって一番の幸せ。私は笑みを崩すことなく自分の首筋に刀を添えた。皆が驚愕した表情を浮かべる。
「A!?」
「なにしてるんですかAさん!今すぐ、刀から手を離してください!」
「わぁ反応までリアル…。うん、やっぱり皆とバカみたいに騒げる日常は幸せだ。でも…ごめん、戻らなきゃ。精神の核を、壊される前に」
グッと息を詰めて、自分の首を刀で掻き切る。首から噴き出る真っ赤な鮮血、皆の絶望したような…見てて心が苦しくなるような表情。何もかもリアルだ…本当、悪趣味だ…
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なぎ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます…‼ (2022年8月14日 15時) (レス) @page42 id: c7ded9271f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新待ってます…応援しています!頑張ってください!! (2022年5月25日 23時) (レス) @page42 id: ef64ea2517 (このIDを非表示/違反報告)
しらこのり - 更新ずっと待ってます 再開して欲しい… (2022年1月15日 11時) (レス) id: 573692b408 (このIDを非表示/違反報告)
人類のようなナニカ - コメント失礼します。この作品本当に大好きで、読み進めるのが楽しくて楽しくて仕方がないです!応援しています!!!!更新頑張って下さい! (2022年1月7日 19時) (レス) @page42 id: 60efa73c00 (このIDを非表示/違反報告)
栞乃(プロフ) - 投稿楽しみにしてます! (2021年12月31日 18時) (レス) id: 8c5f3cdf03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏 | 作成日時:2019年8月20日 14時