Episode31 ページ32
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「落ち着くまで待つ…って、何なんこれ…!」
Aちゃんの過呼吸は落ち着くどころが、酷くなっている気がする。
検索をかけてみるも対処法という対処法が出てこない。
落ち着かんから困ってんねんけど!
「ゆっくり息する…少し呼吸止める……か。Aちゃん息止めれる?ゆっくり吐ける?」
『ッ…はぁ、む、り…!』
「そか……ごめんAちゃん、ちょっと我慢してな」
もっと違ういい方法があるんやろうけど、今はAちゃんの傍を離れられへんし。
要はこれ以上酸素を吸わせなきゃいいんやろ。
それくらいなら俺でも出来ると思って、すぐにAちゃんの後頭部を引き寄せてその口を塞いだ。
『んっ…んく…』
Aちゃんは苦しいのか、弱い力で俺の胸を押した。
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「……落ち着いた?」
『っ、うん、ちょっと落ち着いた…』
「良かったぁ。ごめんな、苦しかったよな」
これホンマに合ってるんかな、と不安になりながらも唇を離す。
はぁ…と大きく息を1つ吐いたAちゃんの荒い呼吸は、幸いにももう収まっていた。
用の済んだスマホはベッドの上に投げて、過呼吸の次はちょっとぐずってるAちゃんをあやす。
こんな時間にこうなるって、何となく察しはついてんだけどさ。
「……怖い夢でも見た?」
『………』
「どんな夢か聞いてもええ?」
『…前の、会社の夢』
「そっか」
知ってた、という言葉を咄嗟に飲み込んでそう言う。
Aちゃんの目からボロボロと流れる涙を袖で拭った。
『こんな時間に起こしちゃってごめんね。もっ、平気だからおやすみ』
Aちゃんは俺にそう言って笑うと、またベッドに戻ろうとする。
こうやってAちゃんは、今でもたまに過去のトラウマに苦しめられる。
簡単にそのトラウマが消えんくても、苦しい時、Aちゃんの隣には俺がいたい。
「この俺がそのまま寝かすわけないっしょ?」
『でも、』
「Aちゃんは明日休みやろ?俺は出る時間遅いし。どうせこのまんま寝ても寝られへんやろ。俺も、Aちゃんも」
『……それは、』
Aちゃんの頬を両手で包んで目を合わせると、やっぱりその瞳は不安げに揺れていた。
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ちょこれーと(プロフ) - 七瀬えぬ??@Nの嫁さん» コメントありがとうございます!返信めちゃくちゃ遅くなってすみません(´;ω;`)ウッ…こちらこそ、素敵なリクエストありがとうございます!感謝感謝すぎます…💖 (7月17日 13時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬えぬ??@Nの嫁(プロフ) - ご完結おめでとうございます!(でいいのかな、?)リクエストも答えてくださりありがとうございました!!😭一枚上手な夢ちゃんとのfwさんの絡みがいつも顔が赤くなるくらい甘すぎて『てぇてぇ』でした、!!感謝感謝!!! (2022年12月3日 10時) (レス) id: 73fef89aef (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 翠さん» コメントありがとうございます!ストーリー考えるの大変だったのでそう言っていただけると嬉しいです!翠さんにもいいことがありますよーに🌈 (2022年11月19日 12時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - エイの干物さん» コメントありがとうございます!aknのから読んでくださったんですね!めっちゃ嬉しいです!! (2022年11月19日 12時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - ひてゃんさん» コメントありがとうございます!読者の皆様のおかげで完結させることができました・本当にありがとうございます!! (2022年11月19日 12時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこれーと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/64be1a2e2a1/
作成日時:2022年10月1日 22時