Episode11 ページ12
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「そんなブラックな企業あるんすか?絶対おかしいやつっスよそれ」
『…やっぱりそうですよね。最初は変だと思ってたはずなんですけど、気付いたら当たり前になっちゃってて…あはは…』
やっぱり慣れちゃった私がおかしいんだよなぁ…
こんな他人の言う事を聞いてくれて、一緒に怒ってくれる人なんて今までいなかった。
「無理に笑わんで?お姉さん頑張りすぎっスよ」
『やっ、本当に喋るか笑うかしないと、また泣いちゃう…』
「泣くのくらい我慢しなくていい」
こんなところで働く前は、もっと明るくて心から笑えていた気がする。
趣味があって仲間もいて、だけど段々そこから離れて行って。
「マジでそんな辛いんなら、その会社爆破しに行きますよ俺」
『爆破はダメだって、笑』
お兄さんがそんな突拍子もないことを言うから、思わず笑みがこぼれた。
この人は私が辞めたいって言えない事分かって言ってくれてるのかな。
「んは、やっぱり姫には笑顔が似合う」
すると、さっきまで会社に怒っていたお兄さんが笑ってそう言った。
一瞬何も言えなくなって、彼に見惚れていたのだと気付くのに時間はかからなかった。
カッコいい人だとは思っていたけど、刹那彼から目が離せなくなった。
『ひ、め…?』
「あー…職業病みたいなモンっす。っていうか、名前名乗ってなかったっすね!?不破湊です」
『あっ、私も!月宮Aです!』
「Aちゃん、ね」
不破湊さん。名前までカッコいい。
私の名前を確かめるようにつぶやくと、不破さんはちょっと自嘲的な笑みになった。
「マジで他人のしかもホストから何言われてもしょうがないッスよね!何か色々出過ぎたこと言っちゃってスミマセン」
正直、ホストっていいイメージはなかった。
チャラそうで、関わったら危なそう。
でもそうじゃないって、少なくとも不破さんはそんな人じゃない。
『いえ!不破さんが言ってくれたことのおかげで、ちょっと元気出ました!助けていただいたし…』
「本当っすか、笑」
『はい。だから、ホストだからどうとか思ったりしないですよ。不破さんは不破さんだから』
多分、会社も辞めれなかったんじゃなくてやめなかったんだと思う。
自分が逃げていただけだって不破さんに気付かせてもらった。
私はその日、上司に辞職届を提出して会社を辞めた。
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ちょこれーと(プロフ) - 七瀬えぬ??@Nの嫁さん» コメントありがとうございます!返信めちゃくちゃ遅くなってすみません(´;ω;`)ウッ…こちらこそ、素敵なリクエストありがとうございます!感謝感謝すぎます…💖 (7月17日 13時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬えぬ??@Nの嫁(プロフ) - ご完結おめでとうございます!(でいいのかな、?)リクエストも答えてくださりありがとうございました!!😭一枚上手な夢ちゃんとのfwさんの絡みがいつも顔が赤くなるくらい甘すぎて『てぇてぇ』でした、!!感謝感謝!!! (2022年12月3日 10時) (レス) id: 73fef89aef (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 翠さん» コメントありがとうございます!ストーリー考えるの大変だったのでそう言っていただけると嬉しいです!翠さんにもいいことがありますよーに🌈 (2022年11月19日 12時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - エイの干物さん» コメントありがとうございます!aknのから読んでくださったんですね!めっちゃ嬉しいです!! (2022年11月19日 12時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - ひてゃんさん» コメントありがとうございます!読者の皆様のおかげで完結させることができました・本当にありがとうございます!! (2022年11月19日 12時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこれーと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/64be1a2e2a1/
作成日時:2022年10月1日 22時