・ ページ47
・
「本日はAさんとの結婚のご了承をいただきたくご挨拶に参りました」
さっきまで緊張していたのが嘘みたいに、明那は凛とした顔でそう言った。
「Aさんとお付き合いをさせていただいて、何度もその明るさに救われました。誰に対しても気配りが出来る優しい方で、初めて会った時から惹かれてました」
わぁ…これは…少し恥ずかしい。
明那の方もお母さんの方も何となく見れなくて、地面に視線を落とす。
「これからもずっと一緒に過ごしていきたいと思っております。私たちの結婚をお許しいただけませんでしょうか。よろしくお願い致します」
『よっ、よろしくお願いします』
明那はそう言い終えると、私も一緒に頭を下げる。
今度は私の方が緊張してきた。
「Aは明那くんと会ってから、良く笑う子になったの」
お母さんがポツリとそう零した。
どこか泣きそうにも見えるお母さんが、1度息を吐くと続ける。
「父のこともあって、我慢ばっかさせちゃってね。でも、明那くんといるようになって、少し昔に戻ったって言うか…」
『お母さん…』
「いつも電話で声を聞く時もすごく幸せそうで。Aは明那くんに迷惑とかかけてない?」
「いっ、いえ!全然…」
お母さんはそんな風に思っててくれたんだ。
ああ、でも、お父さんのことから前を向けたのは明那の存在が大きいかもしれない。
「明那くん、Aと出会ってくれてありがとう」
お母さんは泣いているのか笑っているのか、よく分からない表情でそう言った。
「不束者の娘ですが、よろしくお願いします」
気が付いたら、お母さんが頭を下げていて。
気が付いたら私は、ボロボロと涙を流していた。
「ちょ、何でAが泣くの!笑」
『わかんなっ…、何か、私って恵まれてるなって思ったら…泣けてきて…』
お母さんがさっきまでとは裏腹にちょっと呆れて笑いながら、ハンカチを差し出してくる。
本当に1番泣かないやつだよ、私のポジション…。
「Aちゃんて、意外と泣き虫よな、笑」
『明那ぁ…だって…明那もっ…ひっく…』
「ふふ、お母さん、絶対2人なら上手くいくって思うよ」
『お母さんも更に泣かせないでぇっ…!』
何故か私が泣いちゃったけど、無事お母さんに結婚を認めてもらえました。
・
713人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこれーと(プロフ) - ぱぱぱんさん» コメントありがとうございます!優しい読者様のおかげでここまで書けました…!そう言っていただけて嬉しいです♡ (2022年10月1日 16時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱぱん - 完結おめでとうございます…!読んでるこちらも泣けてくるくらいすごく良いお話でした!(上から目線で申し訳ない)文も読みやすかったです! (2022年9月30日 17時) (レス) @page50 id: 81f1be7b27 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 乳酸菌そーださん» コメントありがとうございます!初めて書くジャンルで難しかったんですが、aknのピュアな所?をたくさん書けて満足です! (2022年9月29日 21時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - のわさん» コメントありがとうございます!自分も書いてて楽しかったので、そう言われると嬉しいです!最推しはaknなので、また書きたいなって思ってます! (2022年9月29日 21時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌そーだ - 完結おめでとうございます!!読んでいてすごく胸がキュンキュンしてました、すっっごく面白かったです✨ (2022年9月29日 20時) (レス) @page50 id: add652d645 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちょこれーと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/64be1a2e2a1/
作成日時:2022年8月21日 17時