◆やくそく ページ38
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Aちゃんが洗い物をしてくれている間、勉強を終えた岬くんと遊ぶ。
膝の上に乗られたり、絵を描いたり。
最初はどう話したらいいか分からんかったけど、意外にすぐに打ち解けることができた。
「明那お兄ちゃん」
「ん?どした?」
不意に岬くんが真剣な顔で俺の名前を呼んだ。
俺が顔を覗き込むと、岬くんは俺の目を真っ直ぐに見て言った。
「僕ね、Aちゃんが泣くの嫌なんだ。小さかったからよく覚えてないけど、前に泣いてるの見たことある。多分ね、Aちゃんのパパの事だと思う」
一生懸命にそう伝えて来る岬くん。
岬くんにつられて、俺の視線もキッチンにいるAちゃんの方へ向く。
Aちゃんと付き合ってしばらくして、話を聞いたことがある。
Aちゃんのお父さんは警察官で、Aちゃんがまだ小さかった頃に殉職していること。
だからその分、Aちゃんはお母さんの事もよく心配しているんだと思う。
岬くんは少し寂しそうに目を伏せると、また俺の方を見て少し笑った。
「だから、Aちゃんの傍に明那お兄ちゃんみたいな人がいて嬉しいんだ!これからも傍にいて、Aちゃんのこと守ってね!」
「僕との約束だよ?」
そう言って、岬くんは小指を俺に差し出す。
「うん、分かった。約束する」
「ほんとー?破ったらダメだからね!」
「任せろ」
俺も岬くんの小指に自分の小指を絡ませる。
岬くんは嬉しそうにはにかんだ。
『えー、なになに?何話してたの?』
そこへ洗い物を終えたAちゃんが手を拭きながらこちらに来る。
岬くんは俺の方を見て悪戯っぽく笑うと、口に人差し指を当てて言った。
「Aちゃんには内緒だよ!ね、明那お兄ちゃん!」
「うん、内緒な?俺と岬くんの秘密やからな!」
『えー!何それ!私だけ仲間外れじゃん!』
Aちゃんが不満そうに口を尖らせる。
その様子を見て、俺と岬くんが顔を見合わせて笑った。
岬くんはAちゃんのことがホンマに好きなんやなぁ。
泣くの見たくないとか、絶対カッコいい奴になるやん。
…まぁ、Aちゃんの事好きなんは俺も一緒やけどな。
岬くん、
俺、ちゃんと約束守るな。
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ちょこれーと(プロフ) - ぱぱぱんさん» コメントありがとうございます!優しい読者様のおかげでここまで書けました…!そう言っていただけて嬉しいです♡ (2022年10月1日 16時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱぱん - 完結おめでとうございます…!読んでるこちらも泣けてくるくらいすごく良いお話でした!(上から目線で申し訳ない)文も読みやすかったです! (2022年9月30日 17時) (レス) @page50 id: 81f1be7b27 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 乳酸菌そーださん» コメントありがとうございます!初めて書くジャンルで難しかったんですが、aknのピュアな所?をたくさん書けて満足です! (2022年9月29日 21時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - のわさん» コメントありがとうございます!自分も書いてて楽しかったので、そう言われると嬉しいです!最推しはaknなので、また書きたいなって思ってます! (2022年9月29日 21時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌そーだ - 完結おめでとうございます!!読んでいてすごく胸がキュンキュンしてました、すっっごく面白かったです✨ (2022年9月29日 20時) (レス) @page50 id: add652d645 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこれーと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/64be1a2e2a1/
作成日時:2022年8月21日 17時