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『……』
「……」
目が合ってしまった。しかもかなりガッツリ。
見過ぎだ!と慌てて視線を逸らし、これで話しかけないのも不自然だと思い口を開いた。
…そういえば、この人は自己紹介の時も他の人とは雰囲気違ったな。
他の男の人たちは「彼女募集中!」って感じで、ニッコニコでテンション高かったけど、この人はあんまり楽しそうじゃなかった。
何人も男の人がいたから、自己紹介の時に聞いた名前はほぼ忘れてる。
でも、何となくその特徴的な赤い髪と私と同じで乗り気じゃないのかなぁって勝手に思ってたから、その人の名前は偶然にも憶えていた。
『えっと…三枝くん、でしたよね?』
「あっ、はい!えーと…確か瀬良さん?」
『そうです!あんなに女の子いっぱいいるのに良く覚えてますね笑』
「それは瀬良さんもでしょ笑」
一見クールな人かなって思ったけれど、全然違った。
向こうも私の名前を覚えてくれていて、ちょっとだけ嬉しいなんて思ったり。
人懐っこい笑みを浮かべる三枝くんに、私もつられて笑顔になる。
「…えーっと、瀬良さんは何で外に?」
『あー…私、普通に友達とご飯来るつもりだったんですよ。合コンだなんて思わなくって。ああいう場に慣れてないというか、苦手というか…。だから、ちょっと逃げてきちゃいました』
何だろう、三枝くんは会ったばかりだけど凄く話しやすい。
私も「三枝くんは?」と聞き返す。
「俺も似たようなモンです。友達に強引に連れてこられたっていうか。そもそも俺、あんまり女性の方と話すの得意じゃなくて…。そうっすね、俺も逃げてきました!」
『…入りにくいですよね、あーゆーの』
「そうっすねー…。女の子と何話していいかも分かんないし」
私たち、ちょっとだけ似てるのかも。
大学生になって、みんなに着いていかないと置いて行かれる気がして、少し無理をして背伸びして。
そんなことが毎日当たり前になっていた気がする。
勝手にこんなこと思ったら失礼かもしれないけど、三枝くんと話してて少し安心してしまった。
…あ、でも三枝くんは女性苦手って言ってたから私と話すのに気を遣うかも。
そんな私の心の中を見透かしたように、三枝くんは少し笑って言った。
「あ…でも何か、瀬良さんは話しやすいッス」
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ちょこれーと(プロフ) - ぱぱぱんさん» コメントありがとうございます!優しい読者様のおかげでここまで書けました…!そう言っていただけて嬉しいです♡ (2022年10月1日 16時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱぱん - 完結おめでとうございます…!読んでるこちらも泣けてくるくらいすごく良いお話でした!(上から目線で申し訳ない)文も読みやすかったです! (2022年9月30日 17時) (レス) @page50 id: 81f1be7b27 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 乳酸菌そーださん» コメントありがとうございます!初めて書くジャンルで難しかったんですが、aknのピュアな所?をたくさん書けて満足です! (2022年9月29日 21時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - のわさん» コメントありがとうございます!自分も書いてて楽しかったので、そう言われると嬉しいです!最推しはaknなので、また書きたいなって思ってます! (2022年9月29日 21時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌そーだ - 完結おめでとうございます!!読んでいてすごく胸がキュンキュンしてました、すっっごく面白かったです✨ (2022年9月29日 20時) (レス) @page50 id: add652d645 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこれーと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/64be1a2e2a1/
作成日時:2022年8月21日 17時