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side 紫
紫「嫌やっ、手術せぇへん。」
高校受験を控えた、中3の夏。
俺は、重い肝臓の病気を宣告された。
手術せな、死んでまうかもしらんってことくらい、アホな俺でも分かっとった。
それでも、嫌やった。ずっと手術を拒んで、みんなを困らせた。
紫「みんな、なんも分かってくれへん。なぁ、トモ?」
緑「…うーん、」
曖昧な答えをして、少し微笑む彼は、同じ病室に入院しとるトモ。
心臓病で、長いことここにおんねんて。
俺の、良き理解者。
「崇裕くん、ほんとに、手術受けない……?」
紫「受けない、言うてんねん。」
その日もまた、先生に反発して
首を横に振り続けた。
緑「タカヒロ……?」
小さい、トモの声がした。
カーテンを開けると、ベッドで点滴を受けるトモがおった。
緑「手術、受けないん?」
紫「えっ、」
緑「ほんまに、それでええの?」
紫「受けへんよ。人の力を借りて、生きたくないわ。」
そう言うた瞬間、トモの目が変わった。
見たことない、悲しみと、怒りに満ちた目。
緑「なんでやねんっ、生きられるんやろ…!?なんで、生きようとせぇへんねんっ!」
紫「……トモなら、分かってくれると思ったのに。」
緑「分かるわけないやろっ」
トモの白い頬に、雫が、2つつたった。
緑「人の力を借りても、生きられへん人がおんねんっ、必死にその助けにしがみついても、振り払われる人がおんねんっ!!」
紫「…っ、ごめん」
何も返されへんかった。
それだけ呟いて、自分のベッドに潜り込んだ。
"人の力を借りても、生きられへん人がおんねんっ"
トモの声が、ぐるぐる回る。
病室に、重たい空気が流れた。
***
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ゆりりんご(プロフ) - 蘭芽さん» リクエストありがとうございます!遅くなってしまうかもしれませんが、書かせて頂きます! (2019年7月8日 23時) (レス) id: 6fee2d04eb (このIDを非表示/違反報告)
蘭芽(プロフ) - リクエスト失礼します。余命わずかな兄の橙と障害持ちの弟の緑という話が読みたいです。緑は橙の余命は知らない設定でお願いします。 (2019年7月8日 7時) (レス) id: 3ac2901e46 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりんご(プロフ) - 樹波@itsumiさん» リクエストありがとうございます!調べながら、書かせて頂きます。 (2019年6月27日 23時) (レス) id: 1fb8f5bcc2 (このIDを非表示/違反報告)
樹波@itsumi(プロフ) - リクエストをしたいです。心臓病の淳太くんと貧血持ちのシゲ、看護師の流星を書いてほしいです。発作が起きて倒れちゃう淳太くんのために必死に流星を呼びに行って、そのあと貧血で倒れるシゲをお願いします。注文多くてすみません。発作の部分大事です。お願いします! (2019年6月27日 22時) (レス) id: 6c6dced539 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりんご(プロフ) - 樹波@itsumiさん» リクエストありがとうございます。書かせて頂きます!調べながら書いてますが、大目に見てください… (2019年6月26日 23時) (レス) id: 1fb8f5bcc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆりりんご | 作成日時:2019年6月22日 17時