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「か、金なんて持ってないぞ！」
浅井が金切り声を上げる。
大野は「金？」と、中年男には似合わない
可愛らしい仕草で首を傾げた。
「あ、あんたの女？か男に手を出そうとした
のは悪かったよ。けど、そいつの方から
誘惑してきたんだ。そ、それに、まだ
指一本触れていねえよ」
浅井は雅紀を指さす。
雅紀は目を細めると、ゆっくりと浅井に
近づき、その顎に指を添わす。
「あれ、そんな水臭い。たしかに指は
触れていないかもしれないけど、
エレベーターの中で背中に胸押し付けて
あげたじゃない」
「……痴女熟女か」
ぼそりと二宮がつぶやく。
雅紀は細めていた目を見開くと、
きっと二宮を睨みつけた。
「誰が熟女だ。俺はれっきとした男だし、
年だってまだ28歳だっていつも
言ってるじゃんか。だいたいこの胸も
パットだしさ」
櫻井は呆れながら、二人のやり取りを
眺める。
「自称28歳でしょ」
小馬鹿にするように、二宮が鼻を鳴らした。
「うっさい、ませガキ」
「ガキ?!僕のどこがガキなんだよ？
僕はれっきとした大人だ」
二宮と相葉は顔を近づけ、視線を激しく
ぶつけ合う。
雅紀からは、さっきまで漂っていた色気が
完全に消え去っていた。
「……親子喧嘩は帰ってからやって
くれないかな？」
松本が膝の上の医学雑誌を閉じながら、
抑揚のない声でつぶやいた。
「親子喧嘩じゃない！」
二宮と相葉の声が見事に重なる。
「松潤の言うとおりだ。漫才やってないで
そろそろ本題に入るぞ」
大野が苦笑しながらぱんぱんと手を鳴らす。
二人は不満顔ながら口を閉じた。
「だ、だから、金なんて持ってないって
言ってるだろ！」
二宮と相葉のやり取りを呆然と眺めていた
浅井が、我に返ったのか再び叫ぶ。
「金なんかいらないよ。ちょっと君と
話をしたいだけなんだ。浅井正平くん」
大野は浅井に顔を近づけると、諭すように
柔らかい口調で言う。
「なんで、俺の名前を……」
浅井は目をしばたたかせた。
「君は川奈雄太の親友だったんだろ？」
大野が『川奈雄太』の名を口にした瞬間、
浅井の顔が露骨に強張った。
「だ、誰だよ、それ？そんな奴、
し、知らねえよ」
3日前、クリニックにやって来た古手川が
言っていた『川奈雄太の失踪について、
事情を知っている可能性の高い人物』、
それこそがこの浅井正平だった。
浅井は川奈雄太の中学からの同級生で
最近もよく行動を共にしていたらしい。
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未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます！ここから更に急展開ですのでお見逃し無く！！ (2021年5月25日 22時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます！ (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開！！ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています！ (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月15日 12時
