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扉が軋む音が室内に響いた。
呆然と立ち尽くしていた櫻井が
振り返ると、入り口の扉が開き、
スーツ姿の中年の男がバーの中に
入ってきていた。
「どうもどうも、
皆さんお久しぶりです」
男は軽く手を挙げる。
中肉中背の男だが、かなりの猫背のため
身長が小さく見えた。
頭髪は天然パーマなのか、
それともひどい寝ぐせなのか
鳥の巣のようにごちゃごちゃしている。
安っぽいYシャツにはしわが寄り、
夏なのになぜか古びたコートを
腕に掛けていた。
いったいこの男は誰なんだ？
櫻井は困惑する。
一応、ここはバーの看板を
掲げてはいるが、これまで客が
来たところを見たことがなかった。
「久しぶり、古手川さん。
急に呼んで悪かったね」
カウンターの中から大野が
声を掛けるのを見て、
櫻井はこの男が車の中で大野が電話を
していた相手だということに気づく。
「いえいえ、気にしないで下さいよ。
大野先生に呼ばれたらすぐに
飛んできますよ」
おどけるように言うと、
古手川と呼ばれた男は
カウンター席に腰掛けた。
「なにか飲みます？」
大野はカウンターの奥の酒瓶が置かれた
棚に視線を向ける。
「それならウイスキーをストレートで、
と言いたいところですが、いまは
勤務中なんで、オレンジジュースでも
いただけますか？」
大野は頷くと、コップに氷と
オレンジジュースを入れて
古手川の前に置いた。
「それで、お話っていうのは何でしょう？
わざわざ捜査を抜け出して来たんですから、
良いお話だと嬉しいんですけれどねぇ」
ジュースを一口すすった古手川は、
あごを引いて上目遣いに大野に
視線を向ける。
「捜査?!」
思わず甲高い声を上げてしまった櫻井を
古手川が不思議そうに見る。
「おや、新顔さんですか？」
「ああ、少し前からうちのクリニックに
勤めることになった櫻井翔くんです。
翔くん、こちらは警視庁捜査一課の
古手川刑事だ」
大野に紹介された古手川は、
笑みを浮かべて「はじめまして」と
頭を下げる。
「警視庁……捜査一課……？」
櫻井は呆然とつぶやく。
「ええ、そうです。えっとですね、
警視庁の捜査一課というのはですね、
簡単に言いますと殺人や強盗などの
重大犯罪を中心に捜査する部署で……」
「それは知っていますけど……、
なんでそんな所の刑事さんがここに？」
古手川は目をしばたたかせると、
大野に「こちらの先生はまだご存じ
ないんですか？」と訊ねる。
大野は楽しげに頷いた。
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未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます！ここから更に急展開ですのでお見逃し無く！！ (2021年5月25日 22時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます！ (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開！！ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています！ (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月15日 12時
