第１章−３− ページ30
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「本気でバラバラ殺人の調査なんか
するつもりですか?!」
薄暗いバーの中に
櫻井の声がこだまする。
「だから、さっきから
そう言っているじゃないですか」
カウンター席に腰掛けた二宮が、
足をぶらぶら振りながら言った。
数十分前、小笠原邸をあとにして
梓ビルへと戻った大野クリニックの
スタッフ達は、地下にあるバーに
集合していた。
櫻井は帰りの車の中で、
どういうつもりなのか大野を
問いただすつもりだったのだが、
大野がスマートフォンで誰かと
話し続けていたので、
切り出すことが出来なかった。
「俺達は医者ですよ。
なんで殺人事件の調査なんて
しないといけないんですか?!」
「それも治療の一環だからですよ」
二宮は大仰に肩をすくめる。
櫻井は「どういうことです？」と
眉間にしわを寄せた。
「言ったでしょ、先週から小笠原さんの
疼痛コントロールが上手くいかなくなった
って。その原因は明らかに、息子が
殺されていたことを知って、精神的に
不安定になったからだよ。
僕達が調査を引き受けることで、
小笠原さんは安心して精神状態が安定する。
ひいては痛みの緩和ケアも上手く
出来るようになるってわけだ」
「そんな強引な……。そもそも
警察でも犯人を見つけられないのに
なんでうちのクリニックが
犯罪調査なんて引き受けたら、
小笠原さんが安心するんですか?!」
「それは、僕達が警察なんかより遥かに
優秀だからですよ。ねえ、大野さん」
二宮が水を向けると、
ウイスキーの瓶を整理していた
大野は唇の片端を上げた。
「最初に言っておいただろ。
うちのクリニックは変わっているって」
櫻井は言葉が継げなくなる。
この人達、本気で犯罪捜査に
首を突っ込むつもりか？
「まあまあ、翔ちゃん落ちついて。
これもうちのクリニックの
業務の一つなんだ」
奈美と並んで
ソファーに腰掛けている雅紀が、
ウーロン茶の入ったグラスを振る。
「業務の一つって、以前にも
こういうことをやったことあるんですか？」
目を剥いて櫻井が訊ねると、
奈美が苦笑を浮かべた。
「何度もあるんですよ。
私はあんまり危険なことをやって
欲しくないんですけど」
「ある意味……、奈美自身が
一番危険だと俺は思う……」
二宮の隣のカウンター席に腰掛けた
松本が、ぼそりとつぶやく。
奈美はピンク色の唇を尖らせると、
「そんなことありません！」と
頬を膨らませた。
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未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます！ここから更に急展開ですのでお見逃し無く！！ (2021年5月25日 22時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます！ (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開！！ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています！ (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月15日 12時
